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・『少年ファンタジー』の韓国の視聴者が少なすぎて、熱心なファン集団が投票を支配できた
・FANTASY BOYSの懸念材料―幅広い年齢差とスキルの格差
・ファン数が少ないことも懸念されるが、重要なのは収益を上げること→日本市場に期待
・イベント情報 ・商品情報
2023年6月8日にファイナルを迎えた韓国MBCのサバイバル・オーディション番組「少年ファンタジー」（Fantasy Boys、ソパン）で、なぜデビューメンバーがあの12人に決まったのか、今後どう売って行くかについて、韓国人YouTuberのガチ氏が公開した辛口の解説動画の内容がとても興味深かったので、ここで簡単に紹介しておく。
ガチ氏はボーカル・トレーナーの経験があり、韓国の音楽業界事情に詳しい。筆者はガチ氏の動画を2021年から幾つか観てきた。ガチ氏は辛口コメントが多いが、「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」（日プ2）の何人かの練習生の歌やダンスのスキルに鋭い評価を下し、XGのデビュー曲（「Tippy Toes」）に拍子抜けしていた。日本語も多少できるので、動画に日本語字幕を付けている（日本語訳がぎこちないこともあるが、言いたいことは伝わる）。
・YouTubeのガチKPOPチャンネルに2023年6月9日に公開されたソパンEP11_12人のデビューメンバーはすでに6月1日に決定されている（10分10秒）
『少年ファンタジー』の韓国の視聴者が少なすぎて、熱心なファン集団が投票を支配できた
「少年ファンタジー」について、ガチ氏がまず指摘したのは、地上波MBCが放送したのに、最終回の視聴率がたった0.5％で、「少年ファンタジー」の全放送回で最低だったことだ。普通、オーディション番組の最終回は、誰がデビューするか気になるので視聴率が上がるのだが、「少年ファンタジー」では、非常に低いところまで低下してしまった。
つまり、韓国の一般視聴者の「少年ファンタジー」への関心は元々少なかったが、最終回にはさらに失われていた。韓国人のほとんどは、「少年ファンタジー」で誕生した12人組ボーイズグループ・FANTASY BOYSを知らないという。
韓国では「少年ファンタジー」の視聴者数が少なすぎた反面、番組の熱心なファンが集結して6月1日頃までに独自の人気投票を行い、そこで上位12人に選ばれた練習生たちが、そのまま番組のファイナルで上位12人となって、デビューすることになったという。
何それ？ 不正が行われたということ？ 疑念が生じるのももっともだが、番組側が不正を行わなくても、「少年ファンタジー」の投票の集計の仕方が、上記のファン集団が実質的に投票結果を支配できる素地を作っていた。
番組開始時から告知されていたように、グローバル視聴者投票は韓国票60％と韓国以外の票40％に換算された。韓国以外の投票数のほうが圧倒的に多くても、換算の結果、韓国票の比重のほうが大きくなった。しかも、その韓国票のほとんどは、上記のファン集団によるものだった。それ以外の視聴者がほとんどいなかったからだ。
この韓国のファン集団はもちろん、各ミッションのステージの現場にも足を運んで現場投票をしたし、セミファイナルとファイナルの生放送中の携帯電話投票もしまくった。携帯電話投票は、日本の視聴者の中にも韓国の電話事情に詳しい人は投票できた人もいたようだが、筆者は電話が通じず諦めた。
生放送中の携帯電話投票は、1回につき1人にしか投票できなかったが、投票が終わると電話を切り、再度電話をかけてまた投票することができた。つまり、投票回数の制限はなかった。ここでも、上記の韓国のファン集団が制限時間いっぱいに組織的に携帯電話投票を繰り返し続けて、自分たちの推しの票数を伸ばした。
FANTASY BOYSの懸念材料―幅広い年齢差とスキルの格差
番組で誕生したボーイズグループ・FANTASY BOYSの12人のメンバーは、最年長が2000年10月生まれ・満22歳の中国人・ソウルで、最年少が2009年2月生まれのキム・ギュレおよび2009年3月生まれの韓国系アメリカ人・ケイダンの満14歳だ。最年少の2人はスキルも未熟で、特にキム・ギョレはほぼ初心者状態（レッスンを受け初めて1カ月）でオーディションに臨んだ。
メンバーの年齢差もスキルの差も大きいから、FANTASY BOYSのコンセプトをどうするかが大変だ。ガチ氏は年長メンバーの顔ぶれを考慮すると、ティーン・ポップは無理だろうから、ヒップホップ・ダンス・グループにするしかないだろう、と予想している。
デビューまでに猛練習してパフォーマンスのスキルを磨くしかない。ガチ氏によると、オーディション中にダンスは特訓の成果でみんな上達したが、歌唱力はそうはいかない。ガチ氏は、オーディション中のミッションのステージでも明らかに口パクのケースがあったと指摘している。そうなると、今後もメンバーによっては、口パク活用になるかもしれない。
図表1 『少年ファンタジー』ファイナル順位―デビューが決まった上位12人
1位 ユ・ジュンウォン（Yu Junwon 유준원）2003/4/21生
2位 キム・ギュレ（Kim Gyurae 김규래）2009/2/28生
3位 ホン・ソンミン（Hong Sungmin 히카루）2004/9/17生
4位 オ・ヒョンテ（Oh Hyeontae 오현태）2008/8/13生
5位 イ・ハンビン（Lee Hanbin 이한빈）2001/11/20生
6位 リン・チ（Ling Qi 링치）2002/6/4生 中国人
7位 カン・ミンソ（Kang Minseo 강민서）2001/7/22生
8位 ヒカリ（Hikari 히카리）2002/1/21生 日本人
9位 ソウル（K-soul 소울）2000/10/19生 中国人
10位 キム・ウソク（Kim Wooseok 김우석）2004/3/12生
11位 ヒカル（Hikaru 히카루）2003/7/14生 日本人
12位 ケイダン（Kaedan 케이단）2009/3/24生 韓国系アメリカ人
ファン数が少ないことも懸念されるが、重要なのは収益を上げること→日本市場に期待
FANTASY BOYSの懸念材料は、メンバー間の年齢やスキルの格差だけではない。オーディション番組出身にしてはファン数が少ないことが、大きな不安材料となっている。
たとえば、2023年6月14日18時時点で、Mnetの「BOYS PLANET」で誕生した9人組ボーイズグループ・ZEROBASEONEの公式ツイッターのフォロワー数は77.5万人だが、FANTASY BOYSの公式ツイッターのフォロワー数はたった2.1万人だ。
だが、ガチ氏も述べているように、デビュー後のFANTASY BOYSは、たとえファン数が少ないままであっても、音楽チャート成績が不振だったとしても、とにかく大事なことは、収益を上げることだ。だから、ファンイベントの収入やグッズ販売の収入が重要になってくる。
これは、所属事務所のPOCKETDOL STUDIOが大手事務所ではないから、当然と言えば当然だ。儲かれば活動継続・拡大、赤字が続けば解散だ。（厳密には、POCKETDOL STUDIOの子会社のM25が「放課後のときめき」シーズン1で誕生したガールズグループ・CLASS:yの所属事務所となっており、弟グループのFANTASY BOYSの所属先がM25 になるのか、親会社のPOCKETDOL STUDIOになるのかは不明）。
所属事務所（運営）は最近タイの会社と業務提携したそうだが、残念ながら期待に反して、「少年ファンタジー」の2人のタイ人の練習生はデビューを逃してしまった。
となると、頼みの綱は日本市場だ。幸い、FANTASY BOYSにはヒカリとヒカルという日本人メンバー2人がいる。また、最終1位だったユ・ジュンウォンは2022年のHYBE LABELS JAPANの「＆AUDITION」出演時に獲得した日本のファンが、「少年ファンタジー」でも応援してくれた。
しかも、FANTASY BOYSの姉グループ・CLASS:yの日本レーベルは商売上手のユニバーサルなので、FANTASY BOYSの日本レーベルもユニバーサルに引き受けてもらえる可能性が高い。そうなれば、ユニバーサルの剛腕で、日本で売りまくってくれるだろう。
既に2023年7月9日（日）に東京国際フォーラムAホール（キャパ約5,000席）で「少年ファンタジー～Welcome to your Fantasy～」の昼夜2公演を開催することが決まっているが、FANTASY BOYSの運営は日本アリーナツアーも開催したい意向だという。席が埋まるかどうか分からないけど。
不安だらけだが、とにかくジュンウォンとヒカリとヒカルが成功裏にデビューできることを願っている。
・番組の日本語公式サイトはこちら ( https://fantasyboys.jp )
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*イベント情報
5/27(土) 「2023 DREAM CONCERT」@韓国釜山（プサン）アジアドメインスタジアム（練習生がシグナルソング「FANTASY」を披露）16:20～17:30 レッドカーペット 18:00～21:00頃 本公演（mahocastで有料オンライン生配信）
6/15(木) トークショー「Welcome to Fantasy World」(NAVER NOW.とABEMAで配信予定)
7/9(日) 14:00/ 18:30「少年ファンタジー～Welcome to your Fantasy～」@東京・東京国際フォーラムAホール
商品情報
*「少年ファンタジー」のファイナル課題曲「Shut Off」「Gesture」「I’Ll Be」。
Amazon: FANTASY BOYS - FINAL [デジタルアルバム] (Fantasy Boys) 2023/6/9
Apple Music/ iTunes: FANTASY BOYS - FINAL - Single (Fantasy Boys) 2023/6/9
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*「少年ファンタジー」のセミファイナル課題曲「SPACEMAN」「RUN」「SNACKS」「Hold Right」。
Amazon: FANTASY BOYS - SEMI FINAL [デジタルアルバム] (Fantasy Boys) 2023/6/2
Apple Music/ iTunes: FANTASY BOYS - SEMI FINAL - EP (Fantasy Boys) 2023/6/2
Apple Music
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