BTSの新たな叩かれ材料はイチャモン/「ビビット」がBTS騒動特集

2018年11月12日の朝、偶然テレビを点けたら、TBS系「ビビット」が韓国の世界的大人気ヒップホップ・アイドルグループBTS（防弾少年団）の"Tシャツ騒動"についての特集を放送していた。バランスが取れていて、いい内容だったと思う。（なお、同日午後のフジテレビ系「直撃LIVE グッデイ!」でもこの話題を取り上げたが、日韓の歴史に時間をかけすぎ、今回の騒動の取材がずさんで見劣りした）

偏ったネトウヨ（ネット右翼）の煽りを鵜呑みにせず、"報道のTBS"らしくきちんと取材して事実確認をし、日本と韓国の賛否両論を紹介し、Tシャツデザイン会社代表の電話インタビューの肉声も放送していた。

多くの人がBTSなり所属事務所のBig Hit Entertainmentが公式コメントを出せば騒動が収束すると予想しているが、それができずにいるのは、日本と韓国の世論の板挟みで動けなくなっているからと思われる。

ネットでは、新たなBTS叩き材料が、ネトウヨの呆れるほど執拗なあら捜しで、過去の映像などから発掘されている。当時、まだ世界的スターになるなどと思いもよらなかった、社会経験の不足している若いメンバーたちのキャラ設定をしたのは、所属事務所（Big Hit Entertainment）だ。所属事務所は、日本を含め世界でビジネスを展開したいのであれば、もっと思慮深く行動すべきだったと思う。

TBS「ビビット」がBTSのTシャツ騒動を特集

2018年11月12日朝のTBS系「ビビット」では、世界で報道されたBTSの"原爆Tシャツ問題"について、かなりの時間を割いて取り扱った。テレビ朝日「ミュージックステーション」の11月9日出演が前日になってテレビ朝日側からキャンセルされた事件で、問題はメンバーの1人（JIMIN）が以前着ていたTシャツが原爆きのこ雲写真入りデザインだったことだった。

BTSのライブ映像や取材対応シーンなども背景で流しながら、彼らの最近の世界的活躍を紹介してから、Tシャツ問題についての取材やコメンテーターの意見表明などで構成されていた。

上記の最新のBTS叩き材料にも登場しているRMが、ニューヨークの国連総会でスピーチする映像も紹介された。日本ユニセフ協会HPにある映像で、「自信を持つことの大切さ」について、微かに緑がかった濃紺のスーツ姿のRMは「僕はキム・ナムジュン、そしてBTSのRM」と自己紹介した。

スピーチで紹介された部分の日本語訳は、テロップで表示されたように、「他の人と同じように、人生でたくさんのミスをしてきました。たくさんの失敗も恐れもあるけど、自分を力いっぱい抱きしめることで、少しずつ自分を愛せるようになりました」という内容だった。

ナレーションで「明日（11月13日）からおよそ38万人を動員する4大ドームツアーを行う予定」と説明され、本題のTシャツ問題に入って行った。

問題のTシャツは決して原爆万歳ではない、反日の意図はない

まずは、JIMIN（23）が着ていた問題のTシャツの背面のデザインについて、画像と共に説明された。

右肩部分に、原爆きのこ雲の写真がプリントされている。その左は英語の単語4種類が並んでいて、うち一つはデザイン会社のブランド名のOURHISTORYだが、あとはPATRIOTISM（愛国心）、LIBERATION（解放）、KOREA（韓国）となっている。

画面で紹介された通販サイトの説明文では、「我が国の"光復"をTシャツに表現しました」とあった。また、ナレーションで「8月15日は韓国では光復節と呼ばれています」と説明された。

さらに、SNSで激しい論争があったこと、テレビ朝日がBTSの番組出演を放送前日に見送りしたことが紹介された。また、BTSの年末の音楽特番出演がすべて白紙になったというスポーツニッポンの11月11日付の記事にも言及があった。

日本および韓国の街の人の反応のインタビューの映像が流れた。日本でも韓国でも、賛否両論のコメント映像が紹介された。

それから、韓国・ソウルからの記者レポートとなった。韓国メディアがこの問題を連日報道していること、韓流ブームが落ち込むのではとの懸念が出ていることが紹介された。

さらに、記者が問題Tシャツのデザイン会社の代表と直接電話で会話している音声が放送された。同社代表は「歴史的な事実を表現したかったんです」「そのために写真を使っただけで、悪い意図があったわけではありません」と述べた。また、「Tシャツは今売切れで、今後再販売をするか売るのをやめるか内部で協議中です」とも述べた。

ここで画面テロップが出て、同社代表の「反日感情を助長する意図はなく、防弾少年団には申し訳ない」との言葉が表示された。

赤荻アナが、JIMINが問題Tシャツを着用した時期について、「去年の春、北米ツアー中に、米サンタモニカでの撮影中に着用」（出所：BTS公式サイト）、また「公開されたのは去年の4月18日にYouTube有料動画として配信」との調査報告をした。なるほど、ネット情報は当てにならないことが多い。

赤荻アナは、このTシャツの件が1年半経って今問題視されるようになったきっかけについて、「先月中旬、韓国のニュースサイトがネット上に掲載して、『これは反日行為ではないのか』と述べ、それで韓国国内を含めて報道が過熱した」と解説した。

公式コメントを出せば騒動は収束できるが、韓国世論を恐れて動けない状況か

ここから、コメンテーターたちの意見が述べられた。

政井マヤ氏のコメント：
「何かコメントを。意図したものじゃないということを聞くことがあれば、もう収まるものだと思うんですね、日本の世論は。

でも、それを言えないってことは、意図したのか意図でないにしても、韓国の世論を気にして何も言えない状況なのかなと。日本に対して、日本のファンをおもんばかって、日本の活動のために謝ると、『なぜ謝るのか』と韓国で叩かれてしまう。どっちもできないで、沈黙を守るしかないっていう状況なのかなと思いますけど。

でも、日本語の歌詞の歌も歌って、日本のファンを意識しててっていう人が、やっぱりこれを着てしまったということは、何らかの説明が欲しいなと思いますよね」

カンニング竹山氏のコメント：
「やっぱり、国ごとのポジショントークというか、その立場上の違いだと思うんですね。韓国の人からすると、そういう自分の立場があり、日本側から言うと、日本の立場があり。それをまたネット上とかで、韓国で言うと反日、日本で言うと反韓。そういう人たちが何かワイワイ言ってる気がするんで。

もちろん、こういうTシャツは、日本にとって絶対ダメですよね。世界的に活動してるんだったら、こういうことも気を遣わないと。じゃあ世界的に活動してる人たちがね、たとえば原爆のことだけじゃなくて、たとえばナチのこととか、そういうことをファッションでカッコいいから着るわけにはいかないわけじゃないですか。そういうことを気に掛けたほうがよかった。

ただ、それを外野でヤンヤン言っても、これは解決しないから。1回公式のツイッターでもブログでも、すいませんでしたって言えるか？　それで終わると思うんですね」

堀尾正明氏のコメント：
「僕ね、本当にもったいないなって、今回の現象を思いますね。やっぱり実感として、日本と韓国って、不幸な歴史があったから。慰安婦問題とか竹島問題とか、今の徴用工問題も揉めて。

政治的にぎくしゃくした部分って、今もあるけれども、2003年から4年に、あの『冬のソナタ』がNHKに流れて以降、もうあっという間にそのブームがやって来て。今は『第3次ブーム』と言われてるでしょ。で、10代の中高生中心に、とにかくこのBTSが牽引となって、ものすごく雪解けが進んでいるんですよね。これからますます加速するかなっていう。政治ができなかったことが、文化交流で、こんな仲良くなれた。

なのに、こういう政治的なものが文化交流の中に入って来てしまって、水を差してるっていうのは、非常に何か不幸なことだなと思うし。やっぱり世界的に活躍してるんだから、芸能の分野に政治的要素が入ったら、背を向ける人たちがたくさんいるんだってことを、BTSもスタッフも含めてね、何かこう考えて欲しいなと思いますよね」

最後に赤荻アナが、「このTシャツをデザインした会社の代表は、このように話しています。私たち『ビビット』の取材に対して『反日感情を助長する気はなかった。防弾少年団には申し訳ない気持ちでいっぱいだ』と、このようにコメントしています」と述べて、締めくくった。

筆者個人的には、政井氏と同じく、BTSのメンバー個人は発言したくても、韓国で叩かれるリスクを考えると、動くに動けない状況なのだろうと推察している。

ファン注目のジョングク負傷直後のパリ公演の映像も

なお、BTSファンとしては、「ビビット」の今回の特集の背景で流れるBTSのライブや取材対応その他の映像にも、ついつい目が奪われてしまった。「FIRE」のステージ・パフォーマンス映像、取材現場でV、JIN、ジョングクが突然「DNA」をアカペラで歌い出したシーンの映像があった。

さらに、まだ映像商品化されていない2018年10月、つまりつい先月のBTSのパリ公演の「I NEED U」のステージ・パフォーマンスの映像も流れた。その直前にロンドンで足にケガをしたボーカリストのジョングクが、ダンスに加われずに椅子に座って歌っていた、ファンには超貴重な映像だった。ありがとう、「ビビット」！

BTS番組情報

（動画配信サービスは2018年11月12日時点の情報。最新配信情報を確認されたい）

オンライン動画配信サービスのHuluで、「We Love BTS～原宿スイーツパーティー編～」「We Love BTS～ラスベガス編～」「We Love BTS～ラスベガス編～」、BTSが出演した「ビルボード・ミュージック・アワード 2018」の全編を独占配信中。（*Huluお試しはこちらから：Hulu）

オンライン動画配信サービスのGYAO!で、2018年11月1日～11月30日の期間限定で、BTSのヒット曲ライブ映像を無料配信中。

オンライン動画配信サービスのdTVで、BTS、EXO、SEVENTEEN、TWICEらが出演した「K-POPアイドルスタースポーツ選手権」を独占配信中。BTS、EXO、NCT127などのMV等も配信中。

11月にはCSのMUSIC ON! TV（M-ON!）、スペースシャワーTV(SPACE SHOWER TV)、MTV、およびミュージック・ジャパンTVで、BTSのMVを中心としたBTS特集番組がある（下記参照）

*番組一覧
（2018年11月12日時点。動画配信は最新配信状況をご確認ください）
7/6(金)～ Hulu「We Love BTS～原宿スイーツパーティー編～」独占配信中
8/6(月)～Hulu「We Love BTS～ラスベガス編～」独占配信中
11/1～11/30 GYAO!でBTSのヒット曲ライブ映像を無料配信中
11/1(木)～dTVで、BTS、EXO、SEVENTEEN、TWICEらが出演した「K-POPアイドルスタースポーツ選手権」を独占配信中。
11/12(月) 18:00～20:00 MTV「BTS MUSIC VIDEO HISTORY」
11/12(月) 20:00～21:00 ミュージック・ジャパンTV「BTSスペシャル」再放送
11/13(火) 23:00～24:00 ミュージック・ジャパンTV「BTSスペシャル」再放送
11/14(水) 22:00～23:00 スペースシャワーTVプラス「BTSスペシャル」再放送
11/16(金) 15:00～16:00 ミュージック・ジャパンTV「BTSスペシャル」再放送
11/17(土) 21:30～23:00 MUSIC ON! TV（M-ON!）「BTS特集」再放送
11/18(日) 17:30～18:00 MTV「BTS Karaokee Video Selects」再放送
11/18(日) 18:00～18:30 MTV「BTS Dance Video Selects Part1」再放送
11/18(日) 18:30～19:00 MTV「BTS Dance Video Selects Part2」再放送
11/18(日) 19:00～20:00 MVT「MTV Select 10: BTS（防弾少年団）」再放送
11/18(日) 20:00～21:00 MVT「BTS Top 10」再放送
11/18(日) 21:00～23:00 MTV「BTS MUSIC VIDEO HISTORY」再放送
11/22(木) 21:00～22:00 スペースシャワーTVプラス「BTSスペシャル」再放送
11/22(木) 21:00～22:00 ミュージック・ジャパンTV「BTSスペシャル」再放送
11/23(金祝) 17:30～19:30 MUSIC ON! TV（M-ON!）「BTS特集」
11/24(土) 18:00～19:00 ミュージック・ジャパンTV「BTSスペシャル」再放送
11/24(土) 21:00～23:00 MTV「BTS MUSIC VIDEO HISTORY」再放送
11/24(土) 23:00～24:00 MVT「MTV Select 10: BTS（防弾少年団）」再放送
11/26(月) 22:00～23:00 ミュージック・ジャパンTV「BTSスペシャル」再放送
11/27(火) 21:00～22:00 スペースシャワーTVプラス「BTSスペシャル」再放送
11/28(水) 13:00～14:00 ミュージック・ジャパンTV「BTSスペシャル」再放送

注: 日テレプラスおよびTBSチャンネル１・２は、スカパー！、J:COM、ケーブルテレビ、ひかりＴＶ、auひかりのいずれかと契約すれば視聴できる。

MUSIC ON! TVは、スカパー！、J:COM、ケーブルテレビ、ひかりＴＶ、eo光テレビ、auひかり、スカパー！プレミアムサービス光のいずれかと契約すれば視聴できる。

スペースシャワーTVは、スカパー！、J:COM、ケーブルテレビ、ひかりＴＶ、IPTV（auひかりまたはスカパー！プレミアムサービス光）のいずれかと契約すれば視聴できる。

MTVは、スカパー！、J:COM、ケーブルテレビ、auひかりのいずれかと契約すれば視聴できる。

ミュージック・ジャパンTVは、スカパー！のプレミアムサービス、またはケーブルテレビと契約すれば視聴できる。

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* BTS (防弾少年団)が2018年11月7日に日本で発売のダブルA面シングル「FAKE LOVE/ Airplane pt.2」は表題曲2曲が日本語歌詞バージョンで、「IDOL」（韓国語）のスタジアム・リミックス・バージョンと日本語歌詞「FAKE LOVE」のリミックス・バージョンも収録。シングルはDVD付初回限定盤A、DVD付初回限定盤B、フォトブックレット付初回限定盤C、CDのみの通常盤、チェンジングジャケットカード付ファンクラブ限定盤の5形態で販売され、全形態ともCD収録曲は共通で、初回出荷分には握手会（メンバー指名不可！）の抽選に応募できるシリアルナンバーを封入。初回限定盤Aの付属DVDには「Airplane pt.2 –Japanese ver.-」と「FAKE LOVE」のミュージック・ビデオ（MV）を収録。初回限定盤Bの付属DVDには「Airplane pt.2 –Japanese ver.-」のMVメイキングとジャケット撮影メイキングの映像を収録。初回限定盤Cにはメンバー別を含む36ページのフォトブックレットを封入。ファンクラブ限定盤にはメンバー別チェンジングジャケットカード7枚を封入。