NewJeansミン・ヒジンPDインタビュー―自らの音楽のルーツ、新たなトレンドの作り手の言葉

（目次）・TOP
・音楽＋視覚コンテンツ＋マーケティング+事業すべてを最高に
・自らの音楽のルーツ:『イパヌマの娘』、13歳の頃どうしても入手したかったEW&Fの曲
・新たなトレンドの作り手の言葉―成功しなかったらただの違和感。成功したから新たなトレンドとなった

Real Soundの2024年2月18日配信のミン・ヒジンのメール・インタビュー記事「ミン・ヒジン、NewJeansを成功に導いた異端の発想　『トレンドを無視した方がむしろ創意に富む』」」が興味深い。NewJeansファンやプロデューサーのミン・ヒジンの才能に興味のある人は必読だ。

特に印象に残ったミン・ヒジンのコメントについて、筆者個人的な感想とともに、記録しておきたい。

音楽＋視覚コンテンツ＋マーケティング+事業すべてを最高に

「創作から事業まで、全てのプロセスを併せて作業することを望んでいました」「エンターテインメント事業はプロデュースと経営が同時に有機的に運営された時、初めて真の花を咲かせることができる」「音楽と視覚的コンセプトの具現化、マーケティング、事業がすべて一つに連結され、一糸乱れずに動かなければなりません」

音楽だけなどの1つの要素だけを分離するのではなく、全ての要素で最高の出来栄えを目指すことになるわけだ。これは、全体を統括するプロデューサーの立場だからこそ言える方針だろう。

自らの音楽のルーツ:『イパヌマの娘』、13歳の頃どうしても入手したかったEW&Fの曲

「Astrud Gilbertoの『The girl from ipanema』は私の人生最高の曲」「素敵な音楽はジャンルや時代を問わず、いつでも愛されることができる」「Astrud GilbertoやDusty Springfieldなどの淡泊で雰囲気のある歌唱スタイルを好む傾向が、グループのメンバーを選抜、構成する上でもある程度適用されていたような気がします」

「イパヌマの娘 (The girl from ipanema」は、スタンダードの中でも古典的な存在で、聴きやすいし、癒されるし、飽きないサウンドだ。NewJeansも全部ではないが、そんな音楽だし、ミン・ヒジンがプロデュースしたBTSのVのソロアルバムは、もっとそういう音楽が色濃く詰まっていると思う。

「13歳の頃」「ラジオで偶然耳にした歌をどうしても探したかった」「レコードショップに駆け込み」「店員さんの前で」「記憶をたどって適当に口ずさんだ」「店員さんが見事に探し当ててくれて」「Earth, Wind & Fireの数多くのアルバムの中から、六本木ヴェルファーレ公演のライブアルバムを選んでくれた」「カセットテープが伸びるほど聞いて、そのアルバムの全曲全てのアドリブを真似できるほど」「あの時のヴェルファーレのライブアルバムが一番好きです」「後日正式レコーディングバージョンのアルバムを聞いた時にはとてもがっかりした」「幼い頃に刺激を受けた様々なことが私の人生と仕事に影響を及ぼした」

ミン・ヒジンは、一目ぼれならぬ一耳聞きですごく気に入った曲を、何としても手に入れたいという情熱・執念を、13歳にして持っていた。それだけの熱量を音楽に対して持っていたからこそ、必然的に、音楽の仕事に導かれたのだろう。

筆者も、Lee Ritenourの16ビートの「Sufarloaf Express」（ライブバージョン）を何回も何回も聞いてすごく気に入っていて、後になって1978年の原曲アルバムバージョンを聴いて、これはこれでいいんだけど、軽く失望したことがあった。ライブではその時にしかないテンションや熱気・盛り上がりがあることも、キレイな音質の原曲音源とは違うライブ盤ならではの価値を上げているのだろう。

ミン・ヒジンの思い出のEarth, Wind & Fireの、六本木ヴェルファーレ公演のライブアルバムは、「EARTH, WIND & FIRE LIVE IN FELFARRE」（1995年）のことか。Spotifyでアルバムごとストリーミングで聴けると知って驚いた（ただし、Spotifyでは2003年となっている）。観客の歓声もしっかり入っている。

新たなトレンドの作り手の言葉―成功しなかったらただの違和感。成功したから新たなトレンドとなった

「NewJeansのデビュー前は、誰も私たちの『多様なアプローチ』について予想することができませんでした」「既存のものとは違う見慣れない異質感を憂慮する声を聞かなければいけませんでした。ところが、大衆的に成功すると、その心配が歓迎の声に変わりました。結果的に成功がトレンドを牽引したわけです」「成功に牽引されたトレンドに従うよりは、持続的に新しい個性が市場に多様に広がることを願います。NewJeansの成功が証明するシグナルはひとつです。『予測とは違う、自分だけの感覚が通じる可能性も世の中に存在する』」

このコメントは、誰かが作り出したトレンドに乗っかった者ではなく、新たなトレンドを生み出したミン・ヒジンだからこそ言えることだ。既存の音楽と違っていて、売れないと、違和感で片付けられて終わってしまうところだった。しかし、NewJeansの場合は大衆人気の獲得に成功できたから、違和感ではなく新しいトレンドとして称賛される音楽になった。

「（ダンスについて）人間味が感じられる自然な動きが好きです。また、極端に女性らしい動作よりは中性的で淡泊な動きを好み、曲と相まって総合的な心地よさを生み出すことができるスタイルを追求します」「メンバーたちが音楽を感じながらステージごと楽しめる形を作りたいと思いました」

NewJeansのダンスは、決して簡単ではないが、一糸乱れぬカル群舞や難易度の高さやカッコよさを追求する類のものではなく、のびのびしているように見えたり、可愛く見えたりする。それがミン・ヒジンの意図するところなのだ、と何となく分かってきた。

「普遍的な感情に集中」「『私が必ず欲しい何かは、他の人々にとっても必ず欲しい何かであるだろう』と言う前提で仕事をする」

誰にとっても、いつの時代も、良いものは良い、という価値観で作った作品ということだ。まさにそれが、グループ名のNewJeansに通じているところだ。

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*NewJeansの2023年12月19日（火）配信リリースのリミックスアルバム「NJWMX」は、「Ditto」「OMG」「Attention」「Hype Boy」「Cookie」「Hurt」のリミックス・バージョンとインスト・バージョンを収録。

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*NewJeansが歌う「2023 League of Legends World Championship」のテーマ曲「GODS」が2023年10月4日（水）リリース。

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*NewJeansの2023年7月21日（金）13時韓国発売の2nd EP（ミニアルバム）「Get Up」は、トリプルタイトル曲「Super Shy」「ETA」「Cool With You」に加え、プロローグとなる「New Jeans」、インタールード・トラック「Get Up」、エピローグ曲「ASAP」の全6曲を収録。
7月7日（金）に「Super Shy」と「New Jeans」を先行配信リリース。パッケージは「Bunny Beach Bag ver.」（NEWJEANSおよび5人のメンバー別の計6種）、「The POWERPUFF GIRLS X NJ BOX ver.」（2種）、CDなし専用アプリ再生のデジタルアルバム「Weverse Albums ver.」（3種）の3バージョンで販売。