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SKY-HIオーディション『THE FIRST』#9―やっと候補者の魅力が伝わる番組になってきた

2021年5月29日

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4次審査の最初のAチームのパフォーマンスは素晴らしかった、番組作りも良くなった
日プ1出身男澤直樹の漏らした過去の後悔、勝ち残るために必要なことは?
デビューを逃してもファイナリストに残れば面倒をみてもらえる場合もあるのがオーディション番組の慣例
デビュー組はどれだけ売れそうか? 4次審査で候補者たちが制作した曲を配信リリースすべき

AAA(トリプルA)のラッパーでソロアーティストとしても活動しているSKY-HI(日高光啓)がプロデューサーとして主催しているグローバル・ボーイズグループ発掘・育成のためのサバイバル・オーディション「THE FIRST -BMSG Audition 2021-」の第9回が、2021年5月28日に日本テレビ系Huluで配信され、それに先立ち主要部分が同日朝の地上波日本テレビ系「スッキリ」で紹介された。

前回に引き続き、山中湖畔で1カ月にわたる合宿の4次審査の最初の10日間で、15人の候補者が3チームに分かれて、コードとリズムまで入ったトラックを与えられて最初の楽曲を制作し、振付を自分たちで考えて練習し、いよいよ最初のAチームのパフォーマンス披露までが明らかになった。最初の楽曲の段階で、15人のうち3人が脱落するという。

4次審査の最初のAチームのパフォーマンスは素晴らしかった、番組作りも良くなった

前回の時点では正直、SKY-HIが彼らに課した楽曲制作の方法に疑問を感じる部分があったが、今回「スッキリ」でも紹介されたAチーム(テン、ソウタ、レオ、ナオキ、マナト)の完成作品のパフォーマンスは、文句なしに素晴らしかった。

歌もダンスもハイレベルで、彼らが考えた歌詞も、自らの体験に基づいていて説得力があり、感動を呼べるものだった。このパフォーマンス動画は、YouTubeで公開すべきだ。[追記] と思っていたら、6月2日になってYouTubeのBMSGチャンネルに公開された。

・YouTubeのBMSGチャンネルに2021年6月2日に公開された [THE FIRST 合宿クリエイティブ審査] "A" Life / Team A (レオ、ナオキ、ソウタ、マナト、テン)の動画(2分45秒)

正直、3次審査までは、候補者たちよりもSKY-HIがこのオーディションの主役のように見えかねない編集に仕上がっていて、SKY-HIのファンはともかく、多くの視聴者の肝心の候補者に対する興味が掻き立てられにくい番組作りだった。

しかし、その問題は今回かなり改善されたと思う。4次審査になって、15人の候補者たちがそれ以前までの本名でなく、芸名もしくはニックネームと思われる、苗字抜きのカタカナ名で称されるようになり、彼らの人間性がクローズアップされた編集のされ方になっていた。つまり、やっと多くの視聴者が求めるタイプのオーディション番組らしくなってきた。

たとえば、レオこと上村礼王が涙を見せているシーンは、こんなイケメンで歌も上手なのに人生で苦労してきたんだ、と視聴者の関心を集めただろう。また、Aチームのメンバーが本番パフォーマンスを終えて口々に「このチームで良かった」と言っていたのは、見ていて嬉しかった。筆者はいろんなオーディション番組を観てきたが、この一言が聞けるとホッとする。

日プ1出身男澤直樹の漏らした過去の後悔、勝ち残るために必要なことは?

筆者は2019年の「PRODUCE 101 JAPAN」シーズン1(日プ1)のファイナリスト入りを惜しくも逃したナオキこと男澤直樹のことが特に気になっていたから、彼が今回の「THE FIRST」の4次審査まで進めてホッとした。

第9回では、男澤が過去のオーディション番組での後悔を語って泣いていた場面があった。日プ1のセミファイナルのコンセプトバトルで目立たない立ち位置で終わってしまい、「残念な結果」(ファイナル目前で脱落)になってしまった苦い経験がフラッシュバックしていた。だから、今回はもっと前に出たい、と思い切って仲間に告げ、受け入れてもらえた。

確かに、オーディション番組は目立った者勝ちだ。もっとも、競争が激しいから、目立てば必ずデビューできるわけでもない。日プ1ではすべて視聴者投票で決定され、視聴者はダンスまたは歌のスキルに加え、華(イケメン)を求めた。

「THE FIRST」は視聴者投票ではなく、SKY-HIが合格者を決定する。視聴者ではなく、SKY-HIへのアピールが必要だ。SKY-HIのこれまでの発言の端々からは、特にお気に入りの候補者が誰かをうかがわせるものもあったし、3次審査ではっきりと順位も付けられた。SKY-HIの3次審査までの男澤の順位は高くない。

デビューを逃してもファイナリストに残れば面倒をみてもらえる場合もあるのがオーディション番組の慣例

なお、今のところSKY-HIは最終的なデビュー組は5人を予定している。それでも、今回4次審査まで進んだ15人は、ヘアメイクを整えてアーティスト写真の撮影もしていたから、4次審査終了時の残留10人に入れば、グループでデビューできなくても、SKY-HIが何らかの形でアーティストとしてのデビューに向けて、面倒をみてくれそうな気もする。

たとえば、日プ1では、デビューを逃した練習生で結成した2グループが、日プ1を運営した吉本興業とその関連会社からデビューできた。また、日韓ボーイズグループNIK(日プ1出身林龍太と三井瞭を含む)を誕生させた2019~2020年のオーディションG-EGGでは、主催したユナクは、脱落者でも熱意があればその後の面倒をみると約束した。SKY-HIもエイベックスがバックにいるはずだし、それぐらいするだろう。というか、それぐらいしてほしい。

デビュー組はどれだけ売れそうか? 4次審査で候補者たちが制作した曲を配信リリースすべき

ただ、「THE FIRST」からデビューするボーイズグループがどれだけ売れそうかには、不透明感がある。実力面では申し分ないが、SKY-HIがデビュー組に誰を選ぶか次第で、ビジュアル(華)がちょっと弱めになる可能性がある。いくらアーティスト性が高くても、歌って踊るボーイズグループにはビジュアルも大事な要素だ。

さらに重要なのは、デビューするボーイズグループがメジャーな音楽番組や高視聴率の情報番組等に出演できるかどうかだ。出演できなければ、ジャニーズやLDHの上位グループやJO1ほどの規模のファンダムを確保するのは無理だろう。

それでも、ある程度のメディア露出が確保できれば、それ以外の日本の事務所のボーイズグループ(男性ダンス&ボーカルグループ)並みかそれ以上には売れそうな気もする。経営者としてのSKY-HIがどこまで狙っているかは分からないが、CDシングルの初動が1万~数万枚で、ライブイベントとグッズで収益を上げられれば、SKY-HIのビジネス的には成功とみなすだろうか。

既にSKY-HIもそのつもりかもしれないが、4次審査で候補者たちが制作した楽曲を、配信リリースして、手ごたえをうかがってはどうだろう。これはやるべきだと思う。日プだってコンセプトバトルの課題曲を練習生にレコーディングさせて、配信リリースしている。

「THE FIRST」の記事:

2021年5月15日付 SKY-HIオーディション『THE FIRST』#7―日プ出身男澤直樹が3次通過/ 目指すはセルフ・プロデュースG
2021年5月10日付 SKY-HIオーディション『THE FIRST』#6―3次審査を経て参加者のTOP5を発表、重大局面
2021年5月6日付 SKY-HIが『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』で気になる練習生を講評、神コメント
2021年5月2日付 SKY-HIオーディション『THE FIRST』#5―凄い実力者!でも華・ビジュアルも大事、もっとYouTube動画を
2021年4月26日付 SKY-HIオーディション『THE FIRST』#4―試される人間力、Da-iCE工藤大輝とw-inds.橘慶太がゲスト出演
2021年4月17日付 SKY-HIオーディション『THE FIRST』#3―実力者揃い、日プ出身男澤直樹のダンスが上達していた
2021年4月11日付 SKY-HIオーディション『THE FIRST』#2―元ジャニーズJrや日プ1元練習生が2次審査通過
2021年4月2日付 SKY-HIボーイズグループ・オーディション『THE FIRST』の『スッキリ』での紹介+Hulu配信スタート

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