米津玄師『馬と鹿』初日売上倍増でいきなり前作初週超え、抽選倍率高騰/ 映像盤感想―やはり最前線アーティスト

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・売上大幅増→チケット抽選申込者大幅増→チケット倍率高騰
・『馬と鹿』映像盤感想―やっぱり最前線の凄いアーティスト
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米津玄師の2019年9月11日発売のCDシングル「馬と鹿」の売上は、フラゲ日の9月10日にオリコン調べで24万1,427枚に達した。デイリー・シングルランキングでは嵐の「BRAVE」の34万479枚に約10万枚及ばず2位だった。

それでも、米津玄師「馬と鹿」の初日売上は、CDシングルの前作である2018年10月発売の「Flamingo/TEENAGE RIOT」の12万2,872枚からほぼ倍増で、「Flamingo/TEENAGE RIOT」の初週売上の22万8,566枚をいきなり上回る、大躍進だった。[追記] 初日から6日間の累計売上は41.2万に達した。1位の嵐の66.7万枚には遠く及ばないが、両方とも極めて高水準だ。

今作の表題曲「馬と鹿」は2019年8月12日に先行配信リリースされており、初週にオリコンの調査対象の8配信サービスでのダウンロード売上が16万4,798DLで（日本全体の推計はない）、デジタルシングル（単曲）ランキングで1位を獲得した。その後4週間で累計34万3,964DLに達し、ロングラン・ヒットの可能性をうかがわせている。

売上大幅増→チケット抽選申込者大幅増→チケット倍率高騰

本来米津玄師のファンは、ダウンロード/ストリーミング購入者が多いと思われる。

それでも、CDシングルの売上が前作比で大幅増となっているのは、ファン数の増加と、CDパッケージに封入されている「米津玄師 2020 TOUR/HYPE」のチケット先行抽選申込シリアルナンバー目当ての購入によるものだろう。

前作「Flamingo/TEENAGE RIOT」にも「米津玄師2019 TOUR/脊椎がオパールになる頃」の先行抽選申込シリアルナンバーが封入されていた。

しかし、その後1年近く経って、米津のファンがさらに増加しているとみられるため、チケットの抽選倍率高騰は避けられないだろう。CDの売上枚数が大幅増ということは、ライブ抽選応募者の大幅増を意味する。

『馬と鹿』映像盤感想―やっぱり最前線の凄いアーティスト

筆者は米津玄師のライブに行ったことはないので、初回限定映像盤の付属DVDに収録されている、「米津玄師2019 TOUR/脊椎がオパールになる頃」のLIVE Teaserを興味深く観た。

1曲目の「Flamingo」がワンコーラスで終わったのがあっけなく感じたが、よくよく考えるとTeaser（ティーザー）すなわち小出しの宣伝映像という趣旨だから、致し方ない。ティーザーということは、いずれ全編のBlu-ray/DVDが発売されるのだろう。

全11曲はそれぞれ洗練されていて凝っているサウンドで、現在の音楽シーンの最前線にいるアーティストにふさわしい凄さを感じた。米津玄師のボーカルも深みがあって素晴らしい。

サウンド集中型のライブ演出ではあった。それでも、米津玄師が昇降装置付きの台の上に上がって歌ったり、最後の「ごめんね」では踊ったりもした。

また、曲の雰囲気に合わせた照明使いで、黒い衣装で顔が見えないちょっと不気味なダンサーたちや、スネアドラム隊も登場し、ビジュアル的にも引き込まれた。

米津玄師がお茶の間にも知名度をぐっと上げたきっかけは、2018年末に「NHK紅白歌合戦」に出演して大ヒット曲「Lemon」を圧巻の歌唱で披露したことだった。

その時の荘厳で真面目な印象があるから、先ごろYouTubeに公開した「馬と鹿」のMVでの、米津玄師の緑がかったグレーの髪色に抵抗感を覚える視聴者もいたようだ。

しかし、米津玄師は元々美術系のバックグラウンドを持った人でもあり、別に地味で寡黙な人ではない。ライブでも黒地ながら派手目のトップスを着てピアスを付けて登場していたし、踊るし、（菅田将暉が明かしていたと思うが）よく喋る人だ。

筆者個人的には、目がすっかり隠れてしまうまで伸ばして垂らした重い前髪が気になった。しかし、2019年8月9日の日本テレビ系「新・日本男児と中居」で、音楽業界の新カリスマ・米津玄師を崇拝して見た目も生き方も米津そっくりに振る舞う男性ファン・通称「ヨネヅラー」を扱った際に、右目が完全に隠れるように重く垂らした前髪と個性的ファッションが、米津玄師のトレードマークとされていた。

それはさておき、CD収録曲を聴く上で参考になるのが、米津玄師がYouTubeに公開した「馬と鹿radio 」だ。ここでは、作品への想いなどが語られている。

「馬と鹿」が主題歌提供されたドラマではスポーツの精神がハイライトの一つだが、米津玄師は「何とまあ神聖なんだろう」「そういう境地に行けるもんなら行ってみたい」などと語っていた。そういう想いも入ったサウンドなのだ。

「海の幽霊」は、映像盤にも収録されている素晴らしいMV映像と一緒に聴くと、さらにドラマティックな歌声に感じられた。

「でしょましょ」は初めて聴いたが、やはり最先端のアーティストらしく、凝っているサウンドだ。唐突に終わって、頭の中に余韻が残った。

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