米津玄師が「NHK紅白歌合戦」で鮮烈なテレビ初生歌唱

2019年1月1日

2018年大晦日の「NHK紅白歌合戦」で、米津玄師（27）は故郷・徳島の美術館からの中継とはいえ、初めてテレビで生歌唱した。

しかも、紅白への初出場が公表されたのが12月26日で、まだ27歳で初出場なのに中継、という大物扱いだった。

米津は幻想的で厳かな雰囲気の中で、今年の大ヒット曲「Lemon」をフルコーラスで熱唱した。確かな歌唱力で、初めて生歌唱を聴いた全ての人に鮮烈な印象を与えたようだ。

新時代の大物アーティスト

米津の出番より前の番組前半で、米津の作品である「打上花火」をDAOKOが歌い、米津の作品でNHK2020応援ソングでもある「パプリカ」を子供ユニットのFoorinが歌い、多くの出演者たちがダンスで応援に加わった。

しかし、画面テロップで「米津玄師」の名前が示されただけだった。結果的に、下手にこうした提供楽曲で小出しに共演しなくて正解だった。

待ちに待った米津の出番になると、冒頭で白組司会の櫻井翔のナレーションで、米津が2018年を代表するアーティストとして称賛されるにふさわしい素晴らしい功績を残したことが、画面の文字入りで説明された。

「動画サイトへの投稿から音楽活動をスタート。インターネット発、新時代のミュージシャン。今年発表した『Lemon』は動画再生回数2億4千万超え。配信は200万DL（ダウンロード）を突破。29の年間ランキングで首位を獲得しました」

「Lemon」が主題歌起用されたドラマ「アンナチュラル」の映像が流れた。ナレーションで「この曲は不条理な死に立ち向かうドラマの主題歌で、残された人々の心に寄り添う楽曲が、大きな反響を呼びました」と解説された。

筆者もそのドラマを観ていたが、「不条理」でやりきれない気持ちになったところで、「Lemon」が流れて心に刺さっていた。

また、この日は故郷の徳島の美術館からの中継であること、今からおよそ1年前に「Lemon」を作っている最中に祖父を亡くしたことも明かされた。ちなみに、徳島新聞によると、この美術館は徳島県鳴門市の大塚国際美術館で、システィーナ・ホールで歌ったそうだ。

暗いホールに無数のキャンドルが灯され、厳かなストリングスの音で曲が始まった。途中で、女性ダンサーが、感情的で激しいダンスを舞っていた。曲の世界観に合った演出だった。

米津は確かな歌唱力でこの曲を熱唱した。曲は一般的なテレビ尺に短縮編集されておらず、サビの後の高音パートもしっかり入って、フルコーラスを歌い上げた。これも大物アーティスト扱いだ。

米津は事前に歌詞を間違えないようにしなければと気にしていたという情報もあったが、時折目を半分閉じて歌の世界に入っていて、しっかり歌詞が頭に入っていたようだ。

歌い終わると、米津が「ありがとうございました」と言った。初めての紅白出演についてのコメントを求められ、「この場を用意して頂いた全ての方に感謝の気持ちを述べたいと思います。ありがとうございます」と述べた。これに、総合司会の内村光良が「米津さんが喋った！」と驚いていた。

鮮烈なテレビ初生歌唱だった（オンライン動画配信サービスのU-NEXTで「第69回NHK紅白歌合戦」を2019年1月15日（火）まで期間限定で配信中。無料トライアルはこちらから）。

なお、米津は2019年1月19日の徳島県・アスティとくしま公演を皮切りに、3月11日の千葉・幕張メッセ展示ホール公演まで、全国8会場16公演の「米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃」を開催する。