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・リリース週のダウンロード・チャートは22位(オリコン&ビルボード)、オリコンDL数は2,577DL
・新規の課金ファン獲得は甘くない―どういう層に刺さるのか?
・XYのレーベルはavex、マネジメントはプラチナムプロダクション系列のプラチナムピクセルが担当
・XYの採算は?
・商品情報
X JAPANのYOSHIKIがプロデューサーを務めたオーディション番組「YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X」で誕生したバンド&ボーイズグループ・XYが2023年6月30日(金)0時に全世界リリースしたデビュー・デジタルシングル「Crazy Love」のリリース初週のチャート成績が出揃った。
単刀直入に言うと、低調で期待外れだった。13人のメンバーはいずれも魅力と実力のある人材で、YOSHIKI書き下ろしの楽曲「Crazy Love」も良い曲で、オーディションもあれだけ話題になっていたのだが・・・。
リリース週のダウンロード・チャートは22位(オリコン&ビルボード)、オリコンDL数は2,577DL
CDを出していないのでデジタルということで、まずはダウンロード・チャートであるオリコンの2023年6月26日~7月2日の週の週間デジタル(単曲)ランキングを見ると、XY「Crazy Love」は初登場22位だった。オリコンの集計対象の10配信サービスでのダウンロード売上数は2,577DLだった。また、同週のビルボード・ジャパンのDownload Songsでも、XY「Crazy Love」は初登場22位だった(ダウンロード売上数は非公表)。
「金曜日リリースで3日しかなかった」という言い訳は通用しない。ボーイズグループ/男性ダンス&ボーカルグループという括りで見ると、たとえばジャニーズのTravis Japanの2023年7月3日(月)リリースの3rdデジタルシングル「Candy Kiss」は、リリース日の7月3日にたった1日だけで、オリコンでのダウンロード売上数が2万6,788DLを記録している。
また、BMSGのBE:FIRSTの弟グループ・MAZZEL(マーゼル)のデビューシングル「Vivid」のタイトル曲「Vivid」は、先行配信リリースされた2023年5月8日(月)に1日だけで、オリコンでのダウンロード売上数が3,875DLだった(1週間では6,175DLで週間9位)。
もちろん、XYよりももっとダウンロード売上数が少ない無名グループは、いくらでもいる。だが、XYは著名人のYOSHIKIがプロデューサーで、オーディション中から地上波テレビでも頻繁に紹介され、XYが地上波の音楽番組で「Crazy Love」を披露する機会も複数回あるなど、恵まれていた。しかも、世界に行くことを目標に掲げたグループだ。下を見てどうするのだ。厳しい目で見られても致し方ない。
デビュー週のストリーミング・チャートやBillboard JAPAN HOT 100に至っては、XY「Crazy Love」は圏外だった。もっとも、リリース週に上位が狙いやすいダウンロード・チャートで22位(オリコンおよびビルボード・ジャパン)だったから、ストリーミングが圏外なのは驚くに値しない。また、「Crazy Love」のミュージックビデオ(MV)も未だに公開されていないから、Billboard JAPAN HOT 100へのチャートインは元々難しかった。
新規の課金ファン獲得は甘くない―どういう層に刺さるのか?
世の中の人の多くは「YOSHIKIのオーディション番組で新ボーイズグループが誕生」という風の便りは知っていても、その新グループ・XYのデビュー曲「Crazy Love」は知らない。たまたまXYが出演した音楽番組を観た人は知っていても、MVを検索しても見つからない(ようやくティザーは上がったが)。だから、興味を持ってもらえても、直ぐに記憶の彼方に消えてしまいかねない。
上記の低調なチャート成績が物語っているのは、XY「Crazy Love」を知っていた人の中でも、課金ファンになって楽曲をダウンロード購入したり、ストリーミングで何度も聴いたりした人は、ごく僅かだったことだ。
おそらく、課金ファンのほとんどは「YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X」を観ていた人たちで、グループ結成後に新たに課金ファンになった人は、非常に少ないのではないか。
そもそも、XYのダンス&ボーカルユニットは、どういうファン層を開拓するつもりだったのだろう。
バンドユニットのほうは、ロックバンドとして今後売れる可能性が十分あると思う。ただ、ロックファンはXYのバンドユニットの独自のオリジナル曲でなければ、評価しないだろう。なるべく早くYOSHIKIのお眼鏡にかなう自分たちのオリジナル曲を仕上げて、ステージ披露してもらいたい。オリジナル曲数曲を揃えて、ロックフェスにどんどん出るべきだ。
事態が深刻と思われるのは、ダンス&ボーカルユニットのほうだ。XYのユニークなステージ・パフォーマンスは、多くの人にとってこれまで見たことがない類のもので、印象に残りやすい。だが、課金ファンを獲得するには、グループとメンバー個人の魅力が刺さるファン層を開拓しなければならない。
まず、ジャニーズファンはXYにほとんど興味がないだろう。K-POPファンの多くも、XYのビジュアル・雰囲気とパフォーマンスのバラバラ感、K-POPで当然視される類のコンテンツ供給がほとんどないことで、XYのファンになりにくい。BE: FIRSTやLDP系グループのファンなら、XYに興味を持ちやすいかも、という気もしなくはないが、女性目線を考えると、タイプが違い過ぎる。
ということで、おそらく現時点でXYのファンとして現実味があるのは、X JAPANのファンやロックファンだろう。ただし、彼らはバンドユニットほどには、ダンス&ボーカルユニットに興味を感じない可能性があり、ダンス&ボーカルユニットの課金ファンになるには、ハードルがかなり高いと思われる。
XYのレーベルはavex、マネジメントはプラチナムプロダクション系列のプラチナムピクセルが担当
XYのレーベルはavexで、マネジメントは芸能事務所・プラチナムプロダクションの系列の株式会社プラチナムピクセルが担当することになった。プラチナムピクセルは、既にXYの公式サイト運営やファンクラブ事務や通販などを担っている。
今後、プラチナムピクセルとavexが“運営”として、YOSHIKIの意向を汲みながら、XYの売り出し戦略をしっかり考えて実行し、収益化していくことになるのだろう。
YOSHIKIは今後もXYの音楽活動でのプロデューサーを続けて行くのだろうと思うが(放り出す可能性もゼロではないが)、ダンス&ボーカルユニットの楽曲は、YOSHIKI以外の作家の提供も認めないと、多忙なYOSHIKIだけに依存していては、全てが遅々として進まなくなりそうだ。
かといって、YOSHIKIがXYから離れれば、XYはただの無名グループとなり、音楽番組出演が非常に難しくなりそうだ。
XYの採算は?
ところで、オーディション番組「14ALL」から誕生したボーイズグループ・VECTALLが、デビュー作が全く売れず、事務所が弱小で経営難となったためデビュー後僅か51日で解散したことを、筆者は覚えている。
XYの場合は、デビュー作が低調な成績で、MVも含む制作費との兼ね合いで赤字になっても、大丈夫だろうか?
一般論だが、たとえチャート成績が悪くても、ファンクラブ会費やイベントやグッズ販売で収益があれば、アーティスト活動は維持できる。XYには既にファンクラブ会費の流入があり、グッズ販売も行っている。ライブイベントが開催できるようになれば、収益も上がるだろう。
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商品情報
*XYの2023年6月30日(金)リリースのデビュー作となるデジタルシングル「Crazy Love」。プロデューサーであるX-JAPANのYOSHIKI書き下ろしのロック・バラード。
Amazon: Crazy Love [デジタルシングル] (XY) 2023/6/30
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