2019年『NHK紅白歌合戦』2部視聴率が歴代ワーストに驚かない、筆者も途中で観るのをやめたから

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・演歌は分けて『紅白・演歌の部』にしてほしい、バックダンサーにアイドル利用は姑息
・しれっと口パクするアイドルにうんざり
・売れているアーティストには紅白出演のメリットなし、下り坂アーティストは出たい
・ MISIAの歌唱力は素晴らしいが、紅白が思想表明の場に利用されるのはいいのか
・『紅白歌合戦』以外にも、大晦日夜はライブ生中継の選択肢が複数あった
・商品情報

2019年12月31日の『第70回NHK紅白歌合戦』の午後9時以降の2部の視聴率は2部制になった1989年以降で最低の37.3%で、前年の41.5%から大幅低下となった（ビデオリサーチ、関東地区）。

『NHK紅白歌合戦』視聴率（ビデオリサーチ、関東地区）

1部 2部
2015年　34.8%　39.2%
2016年　35.1%　40.2%
2017年　35.8%　39.4%
2018年　37.7%　41.5%
2019年　34.7%　37.3%

どのアーティストのせいで視聴率が下がったかは、歌手別視聴率が判明しなければ何とも言えないが、目玉に欠けたことが一因であることは間違いないだろう。

[追記] 2020年1月6日付のスポニチアネックスの記事によると、瞬間最高視聴率は午後11時41分の42.3％で、この日出場したアーティストのダイジェスト映像が流れていたという。また、歌手別の瞬間最高視聴率（平均ではない）は、大トリの嵐の歌唱中の40.8％がトップで、次が氷川きよしの40.4％、3番目が紅組トリのMISIAの歌唱中の40.1%だったという。

筆者個人的にはちょうど午後10時頃の星野源のおげんさんファミリーと一緒に歌った「ドラえもん」と「Same Thing」までは、大体観ていた。しかし、その後は観るのをやめて、翌日に録画で観たいアーティストだけを観ることにした。

紅白をやめて何を観たかは後で書くが、その前に、リアルタイムおよび録画で観た紅白の感想を書いておく。

結論から言うと、もうオール・ジャンルの歌手を集めて視聴率のため何でもする一方で、大手事務所・レーベルやネット右翼のいいなりの紅白の役割は、終わったと思っている。

別に紅白に改革など要らない。今のスタイルであと数年やれば、視聴率が民放の音楽特番レベルまで下がるだろうから、紅白はその寿命を全うして終わればいい。

演歌は分けて『紅白・演歌の部』にしてほしい、バックダンサーにアイドル利用は姑息

紅白の主な視聴者層は今や、中高年・高齢者だそうで、そのせいか、やたら演歌が多いなと思った。筆者は演歌が好きではないので、演歌が流れている時間はスマホをいじったり席を立って用を済ませたりしていた。

また、演歌歌手のバックにジャニーズなどのアイドルが付かされていたのには、視聴率を下げないために必死にいろいろやっている、という魂胆がミエミエで、不愉快だった。King & Princeは太鼓を叩かされ、Kis-My-Ft2は日本舞踊をやらされていた。

そりゃあベテラン演歌歌手に比べれば、彼らは歌唱力も見劣りして芸歴も短いかもしれない。それでも、キンプリは2019年のアーティストトータルセールスで堂々3位で、ベテラン演歌歌手よりはるかに売れている。

また、デビュー9年のキスマイは決してペーペーの新米ではなく、前列3人は映画やドラマで主役も張れる。演歌のバックダンサー扱いはやめてくれ、と叫びたかった。演歌は早い時間帯に演歌歌手だけ集めて「紅白・演歌の部」でもやったらどうか。

しれっと口パクするアイドルにうんざり

あとは、しれっと口パクしているアイドルたちが嫌だった。大人数の女性アイドルグループ然り、一部ジャニーズ然り。

「紅白歌合戦」は日本だけでなく世界中で放送されている。NHKはよくもこんな口パクを「日本の文化」として堂々と世界に公開しているな、とその神経を疑う。

後で録画で観た嵐も、せっかく米津玄師さんが作った「カイト」という良い曲を、国立競技場を借り切るまでして堂々口パク。筆者は嵐の何人かのメンバーは好きだが、口パクする嵐は嫌だ。

大トリが嵐の2019年の新曲「Turning Up」と知った時から、嵐は民放の音楽番組でこの曲はすべて口パクで通したので、紅白でも口パクしかありえないと思っていたため、驚かなかった。

売れているアーティストには紅白出演のメリットなし、下り坂アーティストは出たい

昨年初出場した米津玄師は嵐に曲提供した「カイト」の企画のVTRで登場したが、結局本人が歌うことはなかった。昨年初出場のあいみょんも、今年ストリーミングでトップクラスの実績があったのに、出なかった。

売れっ子アーティストにとっては、「NHK紅白歌合戦」に出演するメリットがない、ということだ。むしろ、低いギャラで数日間拘束され、本番でも自分の出番以外でもいろいろやらされて、苦痛でしかないのだろう。

逆に、人気が下り坂のアーティストは、全国ネットで顔を売っておくチャンスとなるから、むしろ紅白に出たい。

だから、若い頃はイキがって紅白を蹴っていたアーティストが、年取ってから出演したがる例が結構ある。ただし、歌わせてもらうのは、主たる視聴者の中高年・高齢者がよく知っている懐メロ限定となる。

MISIAの歌唱力は素晴らしいが、紅白が思想表明の場に利用されるのはいいのか

MISIAの歌唱力は前年の紅白で絶賛されていて、今年紅組トリに抜擢されたことに違和感はない。MISIAにとっても、2020年1月22日のベストアルバム「MISIA SOUL JAZZ BEST 2020」発売直前の紅白出演は、グッドタイミングだった。

MISIAの圧倒的歌唱力に関しては今年も素晴らしかったが、LGBTQの象徴であるレインボーフラッグを掲げ、ドラァグ・クイーンを起用したのは、紅組（女）と白組（白）が対決するのはやめよう、という意味なのだろうか。

LGBTQをサポートするという姿勢自体はいいと思うが、それを紅白で歌いながら演出で主張するのはどうだろう、と思った。

そう言えば、前年の紅白では、（右翼のファンが多いと言われる）椎名林檎が旭日旗柄の傘を最後に掲げて物議をかもした。紅白は思想を表明する場になろうとしているのだろうか。個人の思想は自由だし、表現の自由もあるが、公共の電波でサブリミナルみたいに思想表明するのはどうだろう。

なお、圧倒的歌唱力の女性歌手と言えば、MISIAだけでなく、Superflyも素晴らしい。

また、男性アーティストでは、本サイトでも注目している星野源が2曲歌い、King Gnu、Official髭男dism、菅田将暉が初出場したのは嬉しかった。もっとも、King Gnuは紅白出演を苦痛に感じていたかもしれないが…。

『紅白歌合戦』以外にも、大晦日夜はライブ生中継の選択肢が複数あった

ところで、筆者は夜10時頃まで紅白を観たが、その後は何を観たかというと、AbemaTVで生中継されたK-POPのSHINee/SuperMのテミンの大阪城ホールでの年越しライブだった。

実はもう一つ、韓国の年越し大型音楽特番「2019 MBC歌謡大祭典」もCS放送のKNTVで生中継されていて、SEVENTEEN、GOT7、ASTROあたりを観たい気持ちはあったのだが、BTSが出なかったし、テミンのライブのAbemaTV生中継を優先することにした。

K-POPファンにとっては、2019年の「NHK紅白歌合戦」は、1部の終盤のTWICEのステージが終わったら、もうそれ以降は観る必要もなかっただろう。TWICEはさすがだった。やっぱり、日本の口パクアイドルとは全然違う。

NHKはネット右翼に忖度して、日韓ガールズグループのTWICEはともかく、BTSやジェジュンなどは呼びもしない。なお、BTSは今年は、韓国の「2019 MBC歌謡大祭典」にも出ず、米国の大型年越しライブ番組出演を選んだ。

K-POPファンはこのように、紅白の2部よりも、テミンのAbemaTVでのライブ生中継か、KNTVの「2019 MBC歌謡大祭典」を選んだだろう。

また、EXILEや三代目JSBのファンは、LDHのカウントダウンライブを観に福岡ドームに行くか、ライブビューイングを映画館に観に行くかのどちらかだっただろう。

今や、紅白歌合戦以外にも、大晦日の音楽ファンの選択肢はいろいろある。ただ、来年以降、もし「NHK紅白歌合戦」に自分が是非観たいアーティストが出演するとなれば、少なくともその部分は紅白をリアルタイムで観るだろうとは思う。

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*King Gnuの2020年1月15日発売のアルバム「CEREMONY」は大ヒット曲「白日」（ドラマ「イノセンス冤罪弁護士」主題歌）、「飛行艇」（ANAテレビCMソング）、「傘」（ブルボン・アルフォートCMソング）、「Teenager Forever」（ソニーワイヤレスヘッドホン/ウォークマンCMソング）を含む全12曲を収録。アルバム「CEREMONY」はBlu-ray Disc付き初回生産限定盤とCDのみの通常盤の2形態で販売。初回生産限定盤のBlu-ray Discには「King Gnu One-Man Live Tour 2019 "Sympa" 2019.04.12 STUDIO COAST」の映像を収録。初回生産限定盤および通常盤の初回プレス分に、全国ツアーチケットのチケット抽選先行申込シリアルナンバーを封入。WEB抽選受付期間は2020年1月14日（火）12:00～1月19日（日）23:59。