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・5月には辞める決断を固めていた―3月のケイリー活動休止、6月初めのSNS全面停止の理由がようやく分かった
・辞める決断の理由は耐えがたい環境―いじめ、不当な扱い、激務、薄給、縛りだらけ/ 自殺を試みたメンバーも
・膨大な借金を背負ってでも辞める
・K-POPシステムは欧米では通用しない
・KGのインスタグラムで発表された長文
K-POPのJYPエンターテインメントの2023年の米国オーディション番組「A2K」で誕生し、2024年1月26日にデビューした北米6人組ガールズグループ・VCHA(ヴィチャ)のKG(17)が2024年12月8日に、JYPに専属契約解除のための訴訟を7日に起こしたことを、自身のインスタグラムへの長文投稿で明かした。
KGは5月に決断していたとのことで、3月にケイリーが健康上の理由で活動休止した後、VCHAの活動が、6月初めのTikTok投稿を最後に停止したまま音沙汰なしだった理由が、ようやく分かった。
投稿文では、いじめや不当な待遇への不満に加え、自殺を試みたり自傷行為に至ったメンバーがいたと示唆されていて、残されたVCHAメンバーが心配だ。グループが危機を迎えている。
5月には辞める決断を固めていた―3月のケイリー活動休止、6月初めのSNS全面停止の理由がようやく分かった
ガールズグループ・VCHAのアメリカ人メンバー・KG(17)が日本時間の2024年12月8日に、自身の歌手・KG Crown名義のインスタグラム・アカウント(iamkgcrown)のプロフィール欄に英語の長文を投稿し、JYPを相手取って契約解除の訴訟を前日に起こしたと明かし、5月にその決断に至った理由について述べた(下記に、筆者による日本語訳と英語の原文を掲載)。
米国でのオーディション「A2K」(内容はNizi Projectとほぼ同じ)を経て2023年9月に誕生した6人組ガールズグループ・VCHAは、全員10代で(現在15~19歳)、2024年1月26日に1stシングル「Girls of the Year」をリリースして、デビューを飾った。
しかし、3月15日の2ndシングル「Only One」のリリースの直前の3月11日に、最年少メンバーである韓国系アメリカ人のケイリー(当時14歳、現在は15歳)が健康上の理由で活動休止、と発表されたが、詳細は明かされなかった。
その後、VCHAが新曲をリリースすることはなく、6月初めのTikTok投稿を最後に、SNS更新も止まってしまっていて、8月3日の大規模フェス「Lollapalooza Chicago」の出演(Stray Kidsとのバーター)も「不測の事態」を理由にキャンセルされた。
今回KGが契約解除訴訟に至る経緯をインスタ投稿で明らかにしたことで、VCHAがなぜ音沙汰なしだったかが、すべて繋がった。
辞める決断の理由は耐えがたい環境―いじめ、不当な扱い、激務、薄給、縛りだらけ/ 自殺を試みたメンバーも
KGが契約解除とVCHA脱退を決意した理由は、自分たちの置かれた環境に耐えられなくなったからだった。
発表文には、自身がいじめ・不当な扱いを受けたことや、激務、私生活の縛りの多さ、少ない報酬などへの不満に加え、具体的な名前は出さなかったが、メンバーの誰かが自殺を試みたり、摂食障害や自傷行為に至ったことも示唆されていて、衝撃的だった。活動休止したケイリーのことだろうか。
ただし、KGの発表を受けてJYPは、KG側と見解の相違があるとコメントとしている(Kstyleの2024年12月8日16:00配信の「VCHAのKGの脱退宣言を受け…JYPがコメント『意見が異なる側面があった』」を参照)。
VCHAはさまざまな人種のメンバーで構成されていたが、KG(本名はKiera Grace Madder)は唯一、純粋な米国人で、白人だった。
しかも、KGはオーディション「A2K」前に、KG Crown名義でシンガーソングライター活動を自由に行っていたから尚更、過酷でがんじがらめのK-POPアイドルの労働・生活環境が耐えがたく、しかも自分が望んでいたアーティストにはなれないと悟ったため、いち早く脱退・契約解除の決断に至ったと思われる。
膨大な借金を背負ってでも辞める
KGは膨大な会社の借金を背負ったことを明かしている。彼女はVCHAに残ったメンバーのことを心配しているが、そのメンバーたちは膨大な借金があるから、辛くても耐え忍ぶしかないと思っている可能性も十分ある。
K-POPファンの我々は、事務所が練習生を無料でトレーニングして生活費の面倒もみるという先行投資をしているから、デビュー後にその精算が完了するまでは、めいっぱい働いても大手事務所では低賃金、中小事務所では無給が当たり前なのだ、と理解している。
それが新人アイドルにとってどれほど過酷であっても、それがK-POPの慣行だから仕方がない、と我々は、いつのまにか思い込んでいる。
考えたら、VCHAのメンバーたちは専属契約をした際にはまだ14~18歳の北米在住の少女たちだったわけで、どんな生活・労働環境か待っているか、想像もつかなかっただろう。
実は過酷でがんじがらめの環境だと気づき、最年少で当時14歳だったケイリーに異変が生じた。不安や不満を感じて、遠く離れた故郷の親に相談すれば、娘の置かれた環境のとんでもなさに憤慨、という流れになるだろう。それでも、膨大な借金を背負わされているから、簡単に「やめなさい」とも言えない。まさにK-POPの“闇”だ。
筆者はVCHAが誕生したオーディション「A2K」をすべて観ていたから、まさかこんな展開になるとは思わず、ショックだ。
3月11日のケイリーの活動休止、5月のKGの脱退決意で、VCHAはデビュー後半年足らずでグループの危機を迎えた。活動休止したケイリーは、それに残りの4人は、VCHAを続けたいと思っているだろうか。
JYPのStray KidsとTWICE以外の若手グループには、順風満帆といえるグループは1つもないが、そんな中でもVCHAは最悪の危機的状態に陥っている。どうなっていくのだろうか。
K-POPシステムは欧米では通用しない
J.Y.Parkことパク・ジニョンは米国オーディション「A2K」を開催した際に、優れたK-POPシステムをアメリカをはじめとする世界に適用して、現地化グループを作る新段階に入った、と意気込んでいた。
しかし、今回のVCHAの事案で分かったのは、練習生およびアイドルの人権を著しく制約するK-POPシステムは、自由と人権重視の欧米では通用しない、ということだ。日本人練習生なら、黙って過酷なK-POPシステムを受け入れるが、欧米人はそうはいかない。
JYPが既に着手したラテン・アメリカ現地化グループ発掘オーディション「L2K」も、VCHAと同じ問題が起きる可能性があるだろう。それを回避したければ、韓国式にこだわらず、現地スタイルのアイドルグループを作るべきだ。
結局、イ・スマン、パク・ジニョン、パン・シヒョクの野望の、K-POPシステムがアメリカを含む世界の音楽業界を牛耳る日は、来ないと思う。
KGのインスタグラムで発表された長文
以下は、日本時間2024年12月8日のKGのインスタグラム(iamkgcrown)のプロフィール欄への英語の長文投稿の、筆者による日本語訳と原文だ。
昨日私は訴訟を起こしました。理由は、あるスタッフらによるいじめと不当な扱いを経験して、JYPエンターテインメントとの契約を解除して、VCHAを脱退することを決意したからです。私の精神衛生に良くない環境だったと感じています。私がいなくなることで失望する方がいたら、お詫びします。私は、あるメンバーが自殺を試みるような労働・生活状況を支持しません。また、摂食障害を助長してメンバーを自傷行為に至らせた環境も、支持しません。
私はこの決断を5月にして、私が契約から解放されるのを、待ち続けています。私はVCHAにとどまっている、私が心から愛し大事に思っている友人たちが心配です。また、私は楽曲を書いて制作することが、本当に楽しいのですが、私がJYPエンターテインメントにとどまれば、私が熱望しているアーティストにはなれないことを悟りました。過酷な労働と私生活への極端な制限と引き換えに、ほんの僅かな報酬しかもらえず、私は会社の膨大な負債を抱え込むことになりました。そんな状況の一方で、素晴らしい時間もありました。
J.Y.Parkさん、役員の方々、私を信頼して素晴らしいトレーニングをしてくださったスタッフの方々には感謝しています。私が我慢を強いられた待遇について、誰かを責めるつもありはありませんが、これはK-POP産業の根深い問題だと感じています。私は友情と、グローバルの観客の前でパフォーマンスする素晴らしい機会には感謝しています。V-lights(VCHAのファン)のみなさんの愛とサポートに感謝していて、私がいなくなってもVCHAを支え続けてほしいと思っています。私は韓国文化とK-POPへの愛を育んできました。将来的には、私は、このような環境下ではないところで、このジャンルで音楽を作り続けます。私が去っていくことで、K-POPシステムが良い方向に改善されて、このような会社の支配下にあるアイドルや練習生たちが保護されることを望んでいます。KG
Yesterday, I filed a lawsuit because I have decided to terminate my contract with JYP Entertainment and exit VCHA after experiencing incidents of abuse and mistreatment by certain staff members. I feel it was not a good environment for my mental health and I apologize if my leave disappoints any of you. I am not in support of the working and living conditions that led a member to attempt suicide. Nor do I support an environment that encourages eating disorders and has caused members to self harm.
I made this decision back in May and am still waiting for release from my contract. I am worried for the girls who remain in VCHA, my friends, who I truly love and care for. I also realized if I remain at JYP Entertainment, I am not able to become the artist I aspire to be, as I really enjoy songwriting and production. I have accumulated a massive amount of company debt, while being paid very little for the intense work and extreme limitations on our personal lives. Although such incidents occurred, there were also beautiful moments.
I’d like to thank J.Y.Park, company executives, and staff for believing in me and the exceptional training. I do not blame anyone for the treatment endured, but feel this is an issue that lies deep embedded in the K-Pop industry. I am grateful for the friendships I made and the incredible opportunity to perform for a global audience. Thank you V-lights for your love and support, and I ask you to continue to shine your support towards VCHA, regardless of my absence. I’ve grown a love for Korean culture and K-Pop music. In the future, I will continue making music in this genre, but not under these circumstances. I hope that my leave can encourage the K-Pop system to make changes for the better, in hopes of protecting the idols and trainees who remain in these companies’ hands.
- KG
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