（目次）・TOP
・TOP20はMrs. GREEN APPLEの曲だらけ、でも好まれる理由も分かる
・ミセス以外では大物・米津玄師のアニソン2曲が大ヒット、サカナクションもアニソンで上位
・HANAとカワラボが切り開いた日本のガールズグループ新時代の2つの潮流
総合ソングチャートのBillboard JAPAN Hot 100の2025年年間ランキングが発表され、分かっていたことだが、Mrs. GREEN APPLEの楽曲が1位の「ライラック」を筆頭に、TOP20のうち8曲を占めた（図表1）。
TOP20を見た筆者の個人的感想は、ミセスの曲だらけ、アニソンだらけ、HANAとカワラボが開いたガールズグループ新時代、というものだ。
Billboard JAPAN Hot 100は、ストリーミングに強い楽曲が上位にランクインしやすい傾向にあるため、集計期間の2024年11月25日（月）～2025年11月23日（日）より前にリリースされた言わば“旧譜”がTOP20のうち1位の「ライラック」を含め、12曲を占めた。また、ボーイズグループはTOP20に皆無だった。
TOP20はMrs. GREEN APPLEの曲だらけ、でも好まれる理由も分かる
総合ソングチャートのBillboard JAPAN Hot 100の2025年年間ランキングのTOP20のうち、Mrs. GREEN APPLEの楽曲が1位の「ライラック」を筆頭に、TOP20のうち8曲を占めた。
Mrs. GREEN APPLEがこれほどまでに大人気な理由は主に、大森元貴の作り出す繊細で耳に馴染みやすいメロディーと共感を呼ぶ歌詞が大衆ウケしやすいこと、大森の歌唱力が凄いこと、ギタリストの若井滉斗を筆頭にアイドル的な面もあること、メディア露出の多い親しみやすいバンドであること、だと思われる。
ミセス以外では大物・米津玄師のアニソン2曲が大ヒット、サカナクションもアニソンで上位
Mrs. GREEN APPLE以外では、年間TOP20入りした2025年リリースの新曲は、アニソンばかりだ。
音楽番組出演なしで、TOP20に2曲の新曲を送り込んだ米津玄師が、存在感を示したが、アニメとのタイアップ効果も大きかった。
一方で、4位の人気アニメ映画主題歌「IRIS OUT」は、2025年後半の大ヒット曲で、リリース時期がもっと早かったら、Mrs. GREEN APPLEとトップ争いをしていたと思う。
7位にランクインした、ベテラングループ・サカナクションの「怪獣」もアニソンだ。もちろん、サカナクションには長年の根強いファンがいるが、アニメのタイアップがなかったら、ここまで高い順位にランクインできなかっただろう。
HANAとカワラボが切り開いた日本のガールズグループ新時代の2つの潮流
2025年のガールズグループ市場では、対照的な2つの新潮流が台頭した。１つはHANAに代表される実力派ヒップホップ・ダンス系グループで、新人ではないがXGもこの系統だ。もう1つはアソビシステムのKAWAII LAB.（カワラボ）に代表される、キュートなTikTokバズリ系のアイドルグループだ。
年間Hot 100の6位には、HANAのデビュー曲「ROSE」が、13位にはHANAの乙女チックなラブソング「Blue Jeans」がランクインした、モンスター級の大型新人ガールズグループ・HANAは、日本のガールズグループ新時代の到来を象徴している。
HANAの大成功は、オーディション番組「No No Girls」で一大ブームを起こしたプロデューサーのちゃんみなの力量によるところが大きい。HANAが超実力派グループであることは間違いないが、ちゃんみながいなかったら、彼女たちが世に出てヒット曲を飛ばすことはなかった。
HANAの6位の強気の突っ張った女のメッセージソング「ROSE」と、ガラッと曲調が変わって恋する可愛い少女の歌詞を綴った13位の「Blue Jeans」は、いずれもちゃんみなが作った楽曲だ。
また、ちゃんみなの陰に隠れているが、ちゃんみなをプロデューサーに起用し、HANAのプロモーションやイベント開催で手腕を発揮したBMSGのSKY-HIの力も大きい。HANAの所属事務所はBMSGの子会社のあB-RAVEなので、HANAが成功すればするほど、BMSGおよびSKY-HIの業界での地位にも一段とプラスになる。
HANAと対照的な大人気ガールズグループ一派が、アソビシステムのKAWAII LAB.（カワラボ）の複数のキュートな女性アイドルグループで、キャッチーなダンスのショート動画が大バズリしている。スターダストの超ときめき♡宣伝部もこの系統だ。
年間Hot 100の12位にランクインしている「かわいいだけじゃだめですか？」を歌っているCUTIE STREETは、カワラボのうちの1組だ。
正直、TikTokバズリで大人気だけだと、そのうち飽きられるだろうと思っていたが、宴会で重宝されるだけでなく、SNS世代からの日常的な需要に、全く衰える気配はない。
図表1 Billboard JAPAN Hot 100 of the Year 2025
1位 Mrs. GREEN APPLE「ライラック」（2024/4/12）
2位 Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」（2025/1/20）
3位 ロゼ＆ブルーノ・マーズ「APT.」(2024/10/18)
4位 米津玄師「IRIS OUT」（2025/9/15）
5位 Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」(2025/4/5)
6位 HANA「ROSE」(2025/4/2)
7位 サカナクション「怪獣」(2025/2/20)
8位 Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」(2023/4/25)
9位 Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」(2024/11/29)
10位 米津玄師「Plazma」(2025/1/20)
11位 Mrs. GREEN APPLE「Soranji」（2022/11/8）
12位 CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか？」(2024/9/9)
13位 HANA「Blue Jeans」（2025/7/14）
14位 Mrs. GREEN APPLE「青と夏」（2018/7/12）
15位 Vaundy「怪獣の花唄」(2020/5/11)
16位 Creepy Nuts「オトノケ」(2024/10/4)
17位 Mrs. GREEN APPLE「点描の唄 feat. 井上苑子」（2018/7/31）
18位 Omoinotake「幾億光年」（2024/1/24）
19位 Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(2024/1/7)
20位 tuki.「晩餐歌」(2023/9/29)
集計期間: 2024年11月25日（月）～2025年11月23日（日）
出所: ビルボード・ジャパン