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・一部の熱心なファンの行き過ぎたツイート活動・CD読み取り活動による影響を排除
・影響は大きくはない(オタクは対応力あり)/強いて言えば配信未解禁ジャニーズに不利、配信中心人気アーティストに有利
音楽ファンの注目度が高く、かつ一般認知度も上がりつつあるビルボード・ジャパン(Billboard JAPAN)の週間総合ソング・チャートであるHOT 100の、算出における内訳項目が変更される。
ビルボード・ジャパンにおける2023年度の最初の週となる2022年12月7日発表分(集計対象は2022年11月28日~12月4日)の週から、HOT 100算出のための集計対象項目から、ツイッター指標(アーティスト名かつ曲名のツイートの数)とルックアップ指標(CDのPC、カーナビ、ブルーレイによる読み取り回数)が廃止される。
この結果、2022年12月7日発表分より、Billboard JAPAN HOT 100は、CD売上枚数、ダウンロード売上数、ストリーミング再生回数、ラジオ放送回数、動画再生回数、カラオケ使用回数の計6指標から算出される。
また、総合アルバム・チャートであるビルボード・ジャパンのHOT Albumsは、CD売上枚数とダウンロード売上数の計指標から算出される。
一部の熱心なファンの行き過ぎたツイート活動・CD読み取り活動による影響を排除
ビルボード・ジャパンでは、今回の変更の理由について、ツイッター指標については、ラジオ以外でのメディア露出効果を図ることを目的として集計を開始したが、他指標で十分に効果が測れるようになったため、としている。
また、ルックアップ指標については、データ提供元の事情により今後継続して同様のデータ集計が不可能になるため、としている。
しかし、両指標の排除はともに、行き過ぎた推し活の影響を排除できるという面もある。
特にツイート指標については、一部の熱量の高いファン(オタク)が、ビルボード・専用アカウントを作って、楽曲と関係ない内容のツイートを含め、毎日アーティスト名と曲名を添えたツイートをしまくるなど、かなり積極的なツイート活動を、当たり前のように展開している。こうした熱心な推し活はアイドルファンに多いが、アイドルに限った話ではない。
以前より、ツイート数は行き過ぎた推し活の影響を受けるため、ビルボード指標としてふさわしくないのでは、という意見が音楽ファンの間で出ていたため、今回のツイート数の使用終了は、大きなサプライズではない。もっとも、ビルボード・ジャパンではHOT 100の内訳項目のウェイト(比率)を明らかにしていないものの、おそらく既にツイート数のウェイトは低いとみられる。
ルックアップ指標については、データ提供元というとgracenoteのことだと思われるが、正直、今でもgracenoteのデータベースはアテにならないことがある。たとえば、最近筆者がK-POPのENHYPENの日本発売アルバムのCDをiTunesで読み込もうとしたら、全然関係のないジャズのアルバムのデータが表示されて、結局役に立たず、自分ですべてCD情報を入力して読み込まざるをえなくなった。
ただ、ルックアップ指標についても、一部の熱心なアイドル/アーティストのオタクなどは、1枚のCDを手持ちのPC、ブルーレイ、カーナビのすべてのgracenote対応端末で読み取って回数を稼いでいる。このため、ビルボード・ジャパンにとっては、ルックアップ廃止は、そうした行き過ぎた推し活の影響を排除できるという利点もあるのだろう。
影響は大きくはない(オタクは対応力あり)/強いて言えば配信未解禁ジャニーズに不利、配信中心人気アーティストに有利
結果として、今回の算出方法変更で、Billboard JAPAN HOT 100は熱心なオタクの推し活の影響を、これまでよりも幾分薄めることになる。
もっとも、おそらく既にウェイト(比率)が高いのはCD売上枚数、ダウンロード売上数、ストリーミング再生回数の3本柱とみられるため、今回の変更によって順位に劇的な変化が起きるというほどではないだろう。
また、オタクという生き物は、チャートのルール変更のような環境変化への対応力にも優れているので、今回ツイート数とルックアップが廃止されても、継続項目での推し活・ビルボード対策を工夫・強化することになるだろう。つまり、ずっとイタチごっこだ。
強いて言えば、今回の変更で最も不利になるのは、ジャニーズの配信解禁していない人気グループと思われる。もっとも、多くのジャニーズ・ファン(特にベテラン・グループのファン)はBillboard JAPAN HOT 100よりもオリコンのCD売上ランキングに関心を寄せているため、当面はそうしたジャニーズ・ファンへの心理的な影響は、あまりないかもしれない。
また、短期的にやや不利になるのは、配信解禁済みで、ファンの多くが熱心なビルボード対策を行っているアイドルやアーティストだろう。しかし、このファン層は環境の変化にいち早く対応策を講じるので、長期的な影響はほとんどないと思われる。
一方、有利になるのは、ファンの多くが年齢層が高くてツイッターを使わない、もしくはビルボード対策に関心のない、配信中心の人気アーティスト、と思われる。
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