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・HYBEの2026年1-3月期決算で本業が営業赤字!最終損益も赤字
・HYBE AMERICAのゴタゴタ続き―パン・シヒョクの盟友だったスクーター・ブラウンが去り、本社から資本注入してもらう
韓国の総合エンタメ企業・HYBEが2026年1~3月期連結決算を4月29日に発表したが、売上高は1~3月期としては過去最高の6,983億ウォン(約750億円)だったものの、本業のもうけを示す営業損益は1,966億ウォンの営業赤字、最終的な純損益も1,567億ウォンの赤字だった。
HYBEは営業赤字は一時的要因と説明しているが、最終損益の赤字の言い訳にはならない。
HYBE AMERICAについては、断片的情報しかないが、ゴタゴタ続きを思わせるニュースが続いている。HYBE最大の地雷はHYBE AMERICAのような気がするのは、筆者だけだろうか?
HYBEの2026年1-3月期決算で本業が営業赤字!最終損益も赤字!
HYBEの2026年1~3月期連結決算での売上高は、看板グループのBTS(韓国では防弾少年団)の活動再開などが貢献して、前年同期比39.5%の大幅増収で、1~3月期としては過去最高の6,983億ウォン(約750億円)に達した。
しかし、本業のもうけを示す営業損益は1,966億ウォンの営業赤字となった。前年同期の216億ウォンの営業利益から、赤字に転じた。
また、最終的な純損益も1,567億ウォンの赤字(純損失)となった。前年同期は543億ウォンの黒字(純利益)だったので、赤字転落だ。
HYBE御用達メディアは、過去最高の売上だけにフォーカスした記事を出しているが、企業財務に詳しい者や株主にとっては、売上は主要項目の1つにすぎず、損益を重視せざるをえない。元日本証券アナリスト協会検定会員だった筆者もそうだ。歴史を振り返れば、売上が高水準でも倒産した企業は、いくらでもある。
売上高は2026年1~3月期に、前年同期比39.5%の大幅増収で、6,983億ウォン(約750億円)になったが、内訳を見ると、アーティスト売上が25.2%増で、4,036.5億ウォンとなった。
その中では、主要項目の録音音楽(recorded music)の売上が98.9%の大幅増加で、2,715億ウォンとなった。これは、初動売上400万枚超という驚異的記録となったBTSの3月20日発売の5thアルバム「ARIRANG」による寄与が、大きかったと思われる。BTS様様だ。
アーティストに直接関係しない売上は前年同期比65.5%の大幅増加で、2,947億ウォンとなった。その中で最大項目のグッズとライセンス(権利収入)の売上は、前年同期比29.2%の増加で1,374億ウォンとなった。コンテンツ売上も前年同期比157.0%の大幅増加で、1,059億ウォンとなった。
しかし、営業費用が前年同期比で33.6%の大幅増加で6,399億ウォンとなり、本業のもうけを示す営業損益は、1,966億ウォンの営業赤字となった。前年同期は216億ウォンの営業利益だったので、赤字転落だ。
HYBEはこの営業費用の大幅増加と営業赤字について、筆頭株主、つまりパン・シヒョクが2550億ウォン相当の株式をHYBEに贈与して、これを役職員の成果給の費用として計上したためで、会社の純資産の流出を伴わない、と説明している(聯合ニュースの記事を参照)。成果給とは、一般に、業績連動型ボーナスを意味する。
つまり、パン・シヒョクが2550億ウォン相当のHYBE株式を寄付して、HYBEはそれを役職員のボーナスとしたが、全社員に現金や預金口座振り込みで払ったのではなく、役員や地位の高い社員向けに、株式のまま支払った、ということだ。
外資系企業に勤務経験のある人は知っていると思うが、株式報酬の支払い対象は、全社員ではなく、役員や一定の地位以上の社員のみであることが多い。役員や地位の高い社員のボーナスは、会社の業績に左右される割合が非常に大きいので、赤字続きのHYBEの現状を見て、パン・シヒョクが助け舟を出したのかもしれない。
ボーナス支払いは、それが現金払いだろうが株式払いだろうが、営業費用に含まれる人件費であるため、2550億ウォンの報酬支払いが営業費用に含まれて、営業赤字に転落してしまった。
HYBEが決算資料で説明しているように、この2550億ウォンは一時的要因であり、これを除くと、営業損益は585億ウォンの黒字(営業利益)で、前年同期比170.3%の大幅増益になるはずだった。
それはその通りだが、最終的な純損益が1,567億ウォンの赤字(純損失)となっていることの、言い訳にはならないだろう。
パン・シヒョクが2550億ウォン相当の株式をHYBEに寄付した際、それを役職員向け株式ボーナスとして支払うことが予め決まっていた場合の損益計算書の会計処理では、時価2550億ウォンの受贈益を、営業外収益として計上しなければならないはずだ。同時に、貸借対照表では時価2550億ウォンの自己株式を計上する。
その後、役職員に株式ボーナスを支払った時点では、2550億ウォンの営業費用が損益計算書に計上され、同時に貸借対照表で時価2550億ウォンの自己株式の相殺処理が行われる。
つまり、2550億ウォンは営業収益ではないから、営業利益に寄与できなかったが、営業外収益として、最終的な純損益には寄与したはずだ。それでも、純損益は1567億ウォン(約168億円)の赤字(純損失)になった。
HYBEは2024年、2025年と2年連続で最終的な純損益の赤字を計上していて、そのたびに「将来のための投資による一時的損失」と説明してきたが、2026年の1~3月期もまた赤字とは、どういうことか? いつになったら「一時的」でなくなるのか?
HYBE AMERICAのゴタゴタ続き―パン・シヒョクの盟友だったスクーター・ブラウンが去り、本社から資本注入してもらう
筆者が気になっているのは、赤字続きのHYBE AMERICAだが、断片的なニュースやデータしかないので、全容は分からない。分かっているのは、最近ゴタゴタ続きを思わせるニュースが多いことだ。
HYBEは2021年に、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデの名マネージャーだったスクーター・ブラウン(Scooter Braun)が率いるIthaka Holdings社を買収し、スクーター・ブラウンがHYBE AMERICAのトップであるCEO(最高経営責任者)に就任した。これでHYBEはアメリカ音楽業界でもトップグループになれそう、と思われた。
だが、パン・シヒョクの盟友だったはずのスクーター・ブラウンは、HYBE AMERICAを去った。
スクーター・ブラウンは2025年7月2日のメディア記事によると、その時点で、HYBE AMERICAのCEO(最高経営責任者)を辞任し、相談役としてHYBE AMERICAの取締役会には残る、と発表されていた。代わりに、新CEOには、南米コロンビア出身のIsaac Lee氏が就任した。
その後、スクーター・ブラウンが2026年3月30日までに、保有するHYBEの全株式(362,292株)を売却したことが、HYBEの財務情報開示で明らかになった。おそらくこれで、スクーター・ブラウンは、HYBEとは完全に縁を切ったと思われる。
2021年にスクーター・ブラウンについて来てHYBE傘下入りした要人の中には、スクーター・ブランがHYBEを去ったのとほぼ同時に、HYBEを離れた者もいる。
スク―ター・ブラウンの会社だったIthaka Holdingsの傘下のレーベル会社・Big Machine Label Group 社(BMLG)は、HYBEが2021年にIthaca Holdingsを買収した際に、一緒にHYBE傘下入りした。音楽の権利を管理する音楽出版業も営む会社だ。
しかし、同社の創業者でトップ(CEO)だったScott Borchetta氏が、HYBE AMERICAを去ることが、2026年2月13日までに明らかになった。同氏は今後、これまでと同様に「Big Machine Records」のブランドで事業を行っていくという。
HYBE Americaは資産、流通、音楽出版社Big Machine Music、何人かの所属アーティストを維持する一方で、新たなレーベル名を導入して、数日内にトップ人事も行うとされた。(NEW INDUSTYR FOCUSの2026年2月13日配信のScott Borchetta Leaves HYBE America)
スクーター・ブラウン氏のようなアメリカの著名人がHYBEを離れても、北米の人気アーティストが韓国企業のHYBEと契約したがるだろうか? それが無理なら、HYBEが自分で育てたアーティストで大人気を獲得するしかない。
一方で、HYBE本社がHYBE AMERICAの増資を行って、約1508億ウォン(1億ドル)の資本注入を行うことが、2026年3月31日に明らかになった。英語記事によると、その目的はHYBE AMERICAの経営をスムーズに行えるようにするためだという。
HYBE AMERICA単体の2025年通年の損益データはまだ見当たらないが、2025年上半期には、HYBE AMERICAはHYBEグループ内で最悪の大幅赤字(純損失)を計上していた。おそらく、資金繰りが懸念されるようになったから、本社に資本注入してもらうことになったのだろう。
これらは、断片的な情報にすぎないが、これだけネガティブな話が多いと、「単なる将来の投資のための赤字」で済む話とは思えないのだが・・・。HYBE AMERICAがHYBE最大の地雷のような気がするのは、筆者だけだろうか。
もちろん、BTSが復帰して、アメリカでものすごい数の公演を開催するので、HYBE AMERICAがBTSのアメリカでの活動のサポート業務を担当するのであれば、BTS関連の収益が見込まれる。
あるいは、アメリカ現地のガールズグループ・KATSEYEが大スターになって、莫大な利益を稼げるようになれば、HYBE AMERICAの収益改善に寄与できるかもしれない。
また、「WORLD SCOUT」で選ばれる日本人メンバーを含むKATSEYEの妹グループや、
デビューしたての南米ボーイズグループ・SANTOS BRAVOSが、早期に大ヒットを飛ばすことができれば、デビューまでの投資コストを早期に回収できて、HYBE AMERICAの収益改善の一助となるかもしれない。
【著者略歴】
・元サラリーマン(市場調査アナリスト)。最終学歴では経済学(統計学含む)を専攻。元日本証券アナリスト協会検定会員。
・2016年よりジャニオタ・ブログ執筆開始。2017年末よりK-POP中心の雑食&音楽好きオタクの当ブログ開始。
・ピアノ履修歴は計20年超(現在はほとんど弾かない)。
・アマチュア・バンド活動歴あり(ジャズ・フュージョン、ロック、ポップス)。
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