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・『WORLD SCOUT』が面白い理由―『No No Girls』みたいに参加者の人物像に深く切り込み共感を呼ぶ
・なぜ米国拠点のガールズグループの最後のメンバー1人を日本人から選ぶのかを推測
・視聴者の心に刺さったエピソード―母親が倒れたHIORI、田舎の不登校美少女SAKURA
・これまでの流れ―日本人応募者総数1万4000人→300人→25人→12人まで絞った
・2次審査通過者(合格者)12人のプロフィール
・次の3次審査はグループ審査でHYBEガールズグループの曲をパフォーマンス
HYBEと米Geffen Recordsによる米国拠点の4人組グローバル・ガールズグループの最後のメンバー1人を日本人の1万4,000人の応募者から選ぶプロジェクト「WORLD SCOUT: THE FINAL PIECE」(通称ワースカ)のABEMA配信の第1話・第2話を観て、意外と面白いと思った。
これまでのHYBE単独のオーディション番組とは違い、参加者の人柄・家庭環境・これまでの人生に深く切り込んでいて面白い。1次・2次審査を経て、候補者たちは12人まで絞られた。
『WORLD SCOUT』が面白い理由―『No No Girls』みたいに参加者の人物像に深く切り込み共感を呼ぶ
筆者が記事に書くのは今回が初めてだが、HYBE×Geffen Recordsの米国の拠点の4人組グローバル・ガールズグループの最後のメンバー1人を日本人の1万4,000人の応募者から選ぶプロジェクト「WORLD SCOUT: THE FINAL PIECE」は、ABEMAで2026年2月24日(火)20時より第1話が無料配信された直後から観ていて、続きが気になっていた。
3月3日配信の第2話で確信したが、このオーディション番組は、それまでのHYBEのオーディションのあまり面白くないイメージとは、かなり違っていて、面白かった。
HYBEのオーディション番組は、最初のENHYPENが誕生した「I-LAND」(2020年)は、サバイバル・オーディション番組(サバ番)作りの達人のCJ ENM・Mnetとの協業だったので、クローズアップされた主要練習生たちの崖っぷち状態、練習生同士の人間関係や人物像への切り込み(自分が落ちると勘違いしたJAYのお手紙エピソードなど)が面白かった。
しかし、その後のHYBE単独のオーディション番組は(SMの番組もそうだが)、参加者1人1人の人間性やそれまでの人生には踏み込まず、ヘタな部分や参加者間の泥くさい葛藤もほとんど見せず、サバ番好き視聴者には、どこか物足りないドキュメンタリー番組のようだった。
しかし、今回の番組は違っていた。率直に言うと、ちゃんみなPDがHANAを誕生させた大人気オーディション番組「No No Girls」のように、注目参加者それぞれの人となり、家庭環境やこれまでの人生に深く切り込んでいる。実家ロケで両親が顔出しで登場しているケースもあり、参加者が涙ながらに想いを語るなど、共感を呼びやすい番組作りになっている(下記)。
ただし、「No No Girls」ではちゃんみなPDがビジュアルや体型にはこだわらず、実力と人間性だけを重視していたが、「WORLD SCOUT: THE FINAL PIECE」ではHYBEの育成責任者が、実力、ビジュアル、楽曲のすべてにおいて最高を目指すと述べている。
また、以前のHYBEの日本のオーディション番組の1つの、aoenが誕生した「応援HIGH」には、別の事務所所属の芸能人が視聴者よりも先に番組を視聴して応援コメントするコーナーがあったが、あまり好評ではなく、某有名ユーチューバー氏は不要と述べていた。
しかし、今回の番組では、先に番組を視聴してコメントする(女性アイドルプロデューサーでもある)指原莉乃、女芸人・ヒコロヒー、LE SSERAFIMのSAKURAとKAZUHA、ILLITのMOKAとIROHAの登場の仕方は、過剰ではなく、ちょうどいいさじ加減だった。
SAKURAが今も先輩・指原莉乃に気をつかっていたり、MOKAが意外とおしゃべりで(筆者は当時つまらないと思っていた)ILLIT誕生のサバイバル・オーディション番組「R U Next」の舞台裏を明かすのが面白かったり、あどけなかったIROHAが美しく成長していたり、といった発見もあった。
なお、この番組が追加メンバー発掘のオーディションである点は、HYBE JAPANの&TEAMが誕生した「&AUDITION」と同じだ。しかし、追加メンバー発掘という特徴が話題にのぼったものの、「&AUDITION」に一切言及がなかったのは、コメント出演していたKAZUHAが過去に文春で&TEAMのKとの交際疑惑を報じられたことがあったからか。
なぜ米国拠点のガールズグループの最後のメンバー1人を日本人から選ぶのかを推測
一般的には、日本の視聴者は韓国拠点のK-POPアイドルグループには関心が高いが、男性グループだと日本人メンバーがいなくても魅力的ならファンになりやすい一方で、女性グループだと日本人がいないとファンになりにくい傾向がある。
K-POP大手事務所がプロデュースする欧米拠点のアイドルグループだと、韓国拠点のグループに比べて、日本人視聴者の関心は薄くなりがちで、日本人メンバーがいなければ、興味を持つ人がさらに減る。
HYBEが今回米国拠点の4人組ガールズグループの最後のメンバー1人を日本人から選ぶことにしたのは、日本で多数のファンを獲得して、ドル箱の日本市場で稼ぎたいからだろう。番組内では、審査員長のソン・ソンドゥク氏が「日本の才能を発掘したいから」と述べていたが、才能だけの問題だったら韓国に優秀な練習生が山ほどいる。
今回デビューメンバーに採用されるのはたった1人だけだが、ファイナルまたはセミファイナルまで残って審査員に逸材と認められれば、HYBEと練習生契約をして、将来別のグループ、たとえば日本拠点のガールズグループのメンバーとしてデビューできる可能性もあるだろう。
視聴者の心に刺さったエピソード―母親が倒れたHIORI、田舎の不登校美少女SAKURA
主な参加者の人柄や家庭環境に深く切り込んだ例としては、たとえば、HIORI(津波古妃織、18)の沖縄の自宅での撮影があった。
HIORIの夢を応援し、ダンススクールなどの車送迎を一手に引き受けてくれていたお母さんは突然脳梗塞で倒れて何カ月か入院し、今も後遺症でスムーズに喋れない。そのお母さんが、HIORIのお父さんと一緒に、顔出しで出演している。デビューして恩返ししたいと涙ぐみながら語るHIORIが、視聴者の涙を誘う。
また、富山県在住のダンス・歌未経験のSAKURA(飛咲来、15)は、のどかな田園風景の中で育ったスター性あふれる美少女で、「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」でME:Iメンバーに選ばれた佐々木心菜を想起させた。
SAKURAは自宅から通えるダンスや歌のスクールがない田舎に住んでいて、自宅には全身が映る鏡もなく、冷蔵庫に映る自分の姿を見ながら自己流でダンスをしてきたという。
実はSAKURAは小学校3年生からずっと不登校だという。この衝撃的事実を明かしたのは、自宅ロケで顔出して出演した母親だった。不登校になった理由は明かされなかったが、元々SAKURAは人前に立って目立つことが好きな子だったという。目立つ美少女だからいじめられた??
母がSAKURAの将来を心配し、好きな職業を見つけてほしいと思っていたところ、SAKURAはK-POPガールズグループのLE SSERAFIMに憧れるようになり、K-POPアイドルを目指し始めた。
普通に考えたら、K-POP大手事務所でデビューという夢を実現できるには程遠い環境と思われるが、SAKURAは日本で女性アイドルとして絶対売れそうなビジュアルで、芸能人になるために生まれたとしか思えない。そのあふれるアイドル・オーラを審査員たちも感じ取っていて、2次審査合格者12人の最後の1人に未経験者のSAKURAが選ばれた。
ただ、筆者個人的には、驚かなかった。というのも、ビジネスに長けているHYBEは、オーディションで実力か人気かの選択を迫られた場合、人気を優先する傾向があるからだ。だから、プロダンサーのSARAが脱落させられ、未経験者の美少女・SAKURAが合格となった。
これまでの流れ―日本人応募者総数1万4000人→300人→25人→12人まで絞った
第1話では、約1万4,000人の応募者から書類審査(ビデオ審査を含む)で生き残った300人を対象とする、対面での一次審査が行われ、300人が25人に絞られた。
一次審査では、300人がダンスか歌のうち得意なほうを選択し、ダンスを選んだ127人の参加者は20人ずつに分かれて、一斉に音楽に合わせてフリーダンスを披露した。
すると、BTSの元振付師で現在はHYBEのエグゼクティブ・クリエイターの肩書となった審査員長のソン・ソンドゥク氏が、踊っている20人のうち、合格させたい参加者が見つかった場合は、その参加者のところまで足早に歩いて行って「合格です」とスカウトした。
これがA合格者で、ダンスを選んだ127人中、わずか4人だけがソン・ソンドゥク氏のお眼鏡にかなった。A合格者4人は、「Girls Planet 999」に出演していた元RIRYDAYのAYANA(桑原彩菜、18)、LDHのダンサーのSARA(宮本紗良、20)、英語が得意な神奈川県出身のSERIA(城守星愛、18)、「UNIVERSE TICKET」に出演していた沖縄県出身のJAYLA(大城莉瑛羅、19)だった。
次に、歌を選んだ173人が、自分の好きな楽曲のアカペラ歌唱を披露した。ここでも、審査員長のソン・ソンドゥク氏が気に入ったA合格者は2人しかいなかった。その2人は「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」に出演していたHONOKA(黒川穂香、20)とHANAMI(小山はなみ、21)だった。
しかし、ソン・ソンドゥク氏と一緒に審査した、振付師の井上さくら氏(「&AUDITION」のパフォーマンスディレクター)、振付師のNOSUKE氏(「タイプロ」のトレーナー)、HYBE × Geffen Recordsのクリエイティブ制作責任者ジェイ・イン氏(Jay Ihn、女性)、HYBE・BIGHIT MUSICの有名音楽プロデューサーのSlow Rabbit氏らが、追加合格者をダンス選択者から8人、歌選択者から11人選出した。この19人がB合格者とされた。
ダンスのB合格者8人は「Nizi Project」に出演していた西山紗羅(20)、「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」に出演していたRANKA(川畑蘭華、19)、「BLACK & WHITE」に出演していたRIRA(村田莉花、20)、ダンス・歌未経験だがアイドルオーラ溢れる富山県出身のSAKURA(飛咲来、15)、MIREI(21)、安達純奈(17)、沢田沙羅(16)、NANASE(15)だった。
歌のB合格者11人は、沖縄出身のHIORI(津波古妃織、18)、日本とドイツにルーツがありモデル経験者のELENA(土方エレナ、19)、大阪府出身でNewJeansやaespaが好きな森穂乃香(16)、「Girls planet 999」「CHUANG ASIA(創造営2024)」に出演していた荒武凜香(21)、安田明香梨(18)、「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」に出演していたSAKURA(北爪さくら、21)、埼玉県出身のル セラフィムが好きなNARU(松浦なる、17)、星野紗衣奈(18)、女優でダンス未経験のAOI(大谷碧空、19)、元PRIKILのUTA(18)、矢崎彩愛(16)だった。
こうして、AB合格者の計25人が1次審査を通過したが、3週間後の2次審査までに6人が辞退した。辞退者はHANAMI(小山はなみ)、「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」に出演していたSAKURA(北爪さくら)とRANKA(川畑蘭華)、元PRIKILのUTA 、MIREI、NANASEの6人だった。
辞退した理由は人それぞれと思われるが、筆者個人的には、3週間で準備しなければならない2次審査のダンスと歌の課題があまりにも難しすぎたからというのも、理由の1つだろうと推測している。
2次審査では、19人の参加者たちが、12人に絞られることになった。参加者たちは全員、ダンスと歌それぞれの課題曲を3週間かけて練習して、個別に披露した。
ダンス課題曲は、デビューする4人組ガールズグループのうち、既にメンバー入りが決定している3人が、それぞれジャズファンク(Jazz Funk)、フェム(Femme女性的)、ヒップホップ(Hip Hop)のハイレベルな振付を踊ったVTRを見せられて、そのうち1つの振付をそっくりコピーした上で自分らしさも見せながらパフォーマンスするというものだった。3人ともめちゃくちゃ上手で衝撃的だった。
2次審査のソン・ソンドゥク氏とHYBE × Geffen Recordsのジェイ・イン氏以外の審査員は、アメリカ人の著名女性振付師・プレスリー・タッカー氏と、日本語が上手な韓国人ボーカルトレーナーのSoomi氏だった。
歌の課題曲は、HANA「Drop」、YOASOBI「アイドル」、宇多田ヒカル「Automatic」の、ジャンルの異なる3曲のメドレーの歌唱披露だった。高音もあって、上手く歌いこなすのは大変だ。
2次審査の脱落者7人は、LDHダンサーのSARA(宮本紗良)、安達純奈、安田明香梨、星野紗衣奈、西山紗羅、沢田沙羅、矢崎彩愛だった。
2次審査通過者(合格者)12人のプロフィール
2次審査の通過者12人は、ソンドゥク氏に呼ばれた順、つまり評価が高かった順に並べると、以下の通りだ。
1位 JAYLA(大城莉瑛羅、おおしろじゃいら、19): ダンス審査1位だった。沖縄県出身。歌唱力も高く、ラップも得意。スター性もあり、デビューが決まっている3人のメンバーとの相性も良いと判断された。「UNIVERSE TICKET」に出演。
2位 HIORI(津波古妃織、つはこひろり、18): ダンス審査7位だった。沖縄県出身。ダンスもボーカルも安定。成長が評価された。自宅ロケでは脳梗塞の後遺症に悩む母親も顔出し出演。
3位 HONOKA(黒川穂香、20): ダンス審査4位だった。埼玉県出身。圧倒的歌唱力。「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」に出演、元VIGU。
4位 AYANA(桑原彩菜、18): ダンス審査8位だった。広島県出身。ダンスで自分らしさが必要と言われた。「Girls Planet 999」に出演していた。元RIRYDAY。
5位 RIRA(村田莉花、20): ダンス審査3位だった。東京都出身。クラシックバレエ経験者、楽曲作りもする。スター性が評価された。
6位 NARU(松浦なる、17): ダンス審査6位だった。埼玉県出身。LE SSERAFIMが好き。
7位 SERIA(城守星愛、じょうもりせりあ、18): ダンス審査5位だった。神奈川県出身、英語が得意。
8位 HONOKA、森穂乃香(16): ダンス審査14位だった。大阪府出身。圧倒的歌唱力。「Automatic」歌唱が、審査員が求めていた歌声だと絶賛された。
9位 RINKA(荒武凜香、21): ダンス審査11位だった。大阪府出身、作詞作曲ができ、音楽の才能があると言われた。
10位 ELENA(土方エレナ、19): ダンス審査9位だった。神奈川県・ドイツ出身。日本とドイツにルーツを持つ。LE SSERAFIMが好き。モデル経験あり。
11位 AOI(大谷碧空、19): ダンス審査10位だった。大阪府出身。女優、ダンス未経験。芸能人オーラがある。
12位 SAKURA(飛咲来、とびさくら、15): ダンス審査16位だった。富山県出身、歌ダンス未経験だがアイドル・オーラにあふれている。LE SSERAFIMが好き。ダンスや歌のスクールがない田舎の出身で育った不登校美少女。次の審査の先生のいる合宿所は、憧れの場所だと述べた。
次の3次審査はグループ審査でHYBEガールズグループの曲をパフォーマンス
次の3次審査では12人が4人に絞られる。12人の参加者は3つの4人組グループに分かれて、それぞれHYBEのガールズグループ(LE SSERAFIM、ILLIT、KATSEYE)の楽曲でパフォーマンスを披露する。グループ分けは審査員側が、参加者たちのキャラを考慮して決めた。合宿でトレーナーの下で練習する。
最終審査は米国ロザンゼルスで開催される。おそらく、既にデビューが決まっているEMILY、LEXIE、SAMARAの3人と一緒にパフォーマンスを披露させられて、フィットするかどうかを見極められるだろう。
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