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・『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』主要6部門受賞者に違和感なし
・最優秀アジア楽曲賞にaespa『Supernova』―事務所力学・忖度ではなくアーティストら約5,000人が選出ならでは
・『最優秀K-POP楽曲賞』に騒動で地位を失ったNewJeansの『Ditto』が選ばれた
日本版グラミー賞を目指すという新設の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」が、2025年5月21日(水)・22日(木)にロームシアター京都で開催され、YouTubeで生配信され、2日目の中盤以外はNHK総合でレビでも生中継された。
芸能事務所やレーベルの力学・忖度の余地はほとんどなく、米グラミー賞と同様に、アーティストや音楽関係者ら約5,000人の投票で選ばれる賞なので(一般リスナーの人気投票で選出の一部賞を除く)、主要部門の受賞者には違和感が全くなかった。
主要部門の「最優秀アジア楽曲賞」にaespa「Supernova」、主要部門ではないが「最優秀K-POP楽曲賞」にNewJeans「Ditto」が選ばれたことも、アーティスト・音楽関係者ら約5,000人による選出という観点から、興味深かった。
『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』主要6部門受賞者に違和感なし
主要6部門の国内受賞者には、筆者個人的には全く違和感がなかった。いずれも実力と実績のあるアーティストなので、彼らもアーティスト・音楽関係者ら約5,000人による投票で選ばれたことは、事務所やレーベルの力学や忖度で決まる賞と違って、喜びも格別だったに違いない。
「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」主要6部門の受賞者
最優秀アーティスト賞: Mrs. GREEN APPLE
最優秀アルバム賞: 藤井風「LOVE ALL SERVE ALL」
最優秀楽曲賞: Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」
最優秀ニュー・アーティスト賞: tuki
Top Global Hit From Japan: YOASOBI「アイドル」
最優秀アジア楽曲賞: aespa「Supernova」
最優秀アジア楽曲賞にaespa『Supernova』―事務所力学・忖度ではなくアーティストら約5,000人が選出ならでは
主要6部門のうちの「最優秀アジア楽曲賞」については、日本での浸透の度合いから考えて、K-POPの楽曲が選ばれるしかないだろうな、と思っていたし、選ばれたのがaespa「Supernova」だったことにも、全く違和感はなかった。
これが、事務所やレーベルの力学や忖度で決まる賞だったら、日本でのCD売上が特に多い、あるいは、日本でのライブ動員数やテレビ番組出演が特に多いK-POPグループが受賞していた可能性が高いと思われる。
しかし、この賞はアーティスト・音楽関係者ら約5,000人による投票で選ばれるため、楽曲のクオリティーなどが重視される可能性があった。
筆者個人的には、aespaの「Supernova」は、もちろん2024年の韓国の主要音楽授賞式でも大賞を獲っていた実績はあるが、曲のパワーや独創性に富んだ良曲なので、日本のアーティスト・音楽関係者らの評価が高くて選ばれたことにも、納得できた。
『最優秀K-POP楽曲賞』に騒動で地位を失ったNewJeansの『Ditto』が選ばれた
主要6部門ではないが、「最優秀K-POP楽曲賞」にNewJeansの「Ditto」が選ばれたことについては、やっぱり日本のアーティストや音楽関係者の評価が高い、ハイクオリティーな楽曲だったんだな、と改めて納得した。リリース直後にYOASOBIのAyaseがこの曲を絶賛したことも思い出した。
同時に、そんな評価が高かったNewJeansが、HYBE・ADORの騒動で、既に韓国では地位を失ったも同然の状態に追い込まれたことを、改めて残念に思う。
HYBEと今のADOR(ミン・ヒジンがいなくなった後のADOR)は、今回のNewJeans「Ditto」の受賞を、苦々しく思っているのではないか。
もし、この賞が働きかけや忖度で何とかできるものならば、HYBEは自社のNewJeans以外のグループに「最優秀アジア楽曲賞」や「最優秀K-POP楽曲賞」を受賞させたかったのではないか。
韓国の幾つかの音楽授賞式や日本の別の音楽授賞式だったら、一定以上の実績があれば、働きかけや忖度が影響する場合もありそうだった(日本のレコ大の海外関連の賞が、HYBEアーティストの持ち回りになっているように見える)。
そうは問屋が卸さないのが、アメリカのグラミー賞だった。BTSはノミネートされて、テレビ中継の視聴率寄与で授賞式にパフォーマンス出演もさせてもらえたものの、肝心の受賞は膨大な数のアーティストや音楽関係者らの投票で決まるから、働きかけや忖度が通用するものではない。
「MUSIC AWARDS JAPAN」は、業界のドンやテレビ局および関係メディアへの営業活動が大事な音楽賞ではなく、音楽ファン・リスナーへの楽曲の浸透を図ることが大事な音楽賞であってほしい。
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