NCT無限拡張は2023年のNCT東京(仮)デビューで終了/ HYBEとSM現経営陣の泥沼抗争の行方は？

（目次）・TOP
・2023年のNCT東京（仮）のデビューをもって、NCTの無限拡張は終了
・NCT東京（仮）はショウタロウ、ソンチャン、ショウヘイ、ウンソク、スンハンの5人だけ？
・SMの3月31日の定期株主総会で、経営陣が刷新される可能性
・SM経営権を巡る泥沼の争い―3月31日の株主総会までに決着を望むが、保証はない
・泥沼―HYBEはカカオによるSM株取得契約に問題を発見し取引中止を要求、SM現経営陣はHYBEを非難
・もはやSM単独ではやって行けない。HYBEとカカオとどちらがSMアーティストにプラスか？
・HYBEがK-POPで断トツ一強となる弊害は？でも世界市場にライバルはいる
・イベント情報　・商品情報

K-POPの老舗・SMエンターテインメントの共同代表であるイ・ソンスおよびタク・ヨンジュン両氏が、「The Era of SM 3.0, Fans Ask and SM Answers（SM3.0期, ファンの質問とSMの回答）」と題する本人出演動画を、2023年2月24日にYouTubeのSMTOWNチャンネルに公開した。

この共同代表2氏は3月31日のSMの定期株主総会後には現在のSMトップの地位にはいなくなるとみられるので（少なくともイ・ソンス氏は2月17日に3月に辞任すると表明）、新経営戦略・SM3.0の実現性には疑問がある。

しかし、今回特にSMファンが注目した「NCTシステムの変更」や、（イ・スマン前総括プロデューサーが選抜したドリーム・チームの）SuperMの活動予定が見当たらなかったことについては、たとえ経営トップが総入れ替えになったとしても、推進者だったイ・スマン氏がいなくなったので、おそらく今回の決定から変わらないと思われる。

・YouTubeのSMTOWNチャンネルに2023年2月24日に公開されたThe Era of SM 3.0, Fans Ask and SM Answers（SM3.0時代, ファンの質問とSMの回答）（16分16秒）

2023年のNCT東京（仮）のデビューをもって、NCTの無限拡張は終了

動画の7分50秒のプレゼン資料を見ると、英語で「2023年のNCT東京（仮称）のデビューをもって、NCTの無限拡張は終了」「メンバーの変更なしで、SMは現行のメンバーをサポートする」とある。

つまり、NCTハリウッドやNCTサウジアラビアはなくなる、ということだ。SMファンはNCTのメンバー間格差を憂慮し、NCTではない新たなボーイズグループのデビューを期待しつつあるので、NCTの無限拡張の終了は、概ね好感されているようだ。

そういえば、SMは2021年5月に、NCTハリウッドを結成するためのオーディション番組を2021年中に制作したい意向を明らかにしていたが、そのような番組は実現しなかった。当時アメリカで行ったオーディションで、めぼしい練習生を獲得できたのであれば、新しいグローバル・ボーイズグループの候補と考えればいい。

NCT東京（仮）はショウタロウ、ソンチャン、ショウヘイ、ウンソク、スンハンの5人だけ？

NCT東京（仮）は、今のところ、既にNCTメンバーであるショウタロウとソンチャンと、イ・スマン氏が昨年末までにデビューを宣言したSMルーキーズのショウヘイ、ウンソク、スンハンの3人の、計5人がメンバー入りすることが、ほぼ確実とみられている。

ただし、正式なメンバー発表はまだない。この日本人2人＋韓国人3人の日韓5人グループではなく、7人もしくは9人の多国籍グループとして、デビューする可能性も十分あるだろう。

5人が出ていた日本テレビ/Huluの番組（「What’s NCT!? ～welcome to NCT Universe～」）がNCTファン（シズニ）以外にあまり話題にならなかったので、NCT東京（仮）を盛り上げるための新たな仕掛けが必要だ。もちろん、世界中のシズニを動員して、応援してもらう必要もある。

ちなみに、SMの以前の公開資料では、NCT東京（仮）のデビュー時期は2023年の7～9月頃とみられていた（2023年2月5日付「SMマルチレーベル化/ 2023年新人デビュー4組、4-6月ガールズG、7-9月NCT東京（仮）、秋以降に新ボーイズG」を参照）。

SMの3月31日の定期株主総会で、経営陣が刷新される可能性

2023年3月31日12時より開催されるSMの定期株主総会で、SMのトップを含め、経営陣が刷新される見込みだ。今のところ、大荒れの株主総会になる予感がある。

株主の議決権数は持ち株比率に比例する。たとえば筆頭株主のHYBEが持ち株比率14.8%なら、全役員（取締役）数のうち最低でも1割は、HYBEが送り込む人物にするよう要求するだろう。HYBEは既に自ら送り込むSM役員を選定している。

上述のように、現在のSMのトップであるイ・ソンスおよびタク・ヨンジュン共同代表のうち、イ・スマン氏の妻の甥であるイ・ソンス氏は既に2月17日に、3月に代表を辞任する意向を表明している。

もう1人の共同代表であるタク・ヨンジュン氏は今のところ辞任表明はしていないが、定期株主総会で、代表を解任される可能性も、なきにしもあらずだ。

2月22日に取引完了で名実ともに持ち株比率14.8%の筆頭株主となったHYBEと、HYBEに賛同する株主らの合計持ち株比率が今後50％を超えれば、SMの経営陣を総入れ替えすることも可能になる。実際、HYBEは株主たちに議決権委任を公に呼びかけている（Kstyleの2023年2月24日17:00配信の「HYBE、株主に議決権委任を勧誘『SMの現経営陣は信頼できない』」を参照）。

したがって、株主総会前の現時点で現経営陣がSMの新経営戦略のSM3.0を主張しても、それがすべて実現するかどうかは不明だ。

それでも、HYBEもSM3.0で打ち出された計画のうち、マルチレーベル制導入やNCT無限拡張終了などは受け入れそうなので、SM3.0の全てが撤回されるわけではないだろう。また、HYBEは基本的にファミリー内の各レーベルの自主性を尊重しているので、既にデビューが決まったNCT東京（仮）にも口出しはしないだろうと思われる。

筆頭株主になったHYBEは、さらに持ち株比率を約40％（独占禁止法に引っかからないぎりぎりの水準？）にまで上げるつもりでSM株の公開買い付け（TOB）に着手している。また、HYBEにSMの発行済み株式の14.8%を売却したイ・スマン氏は、今なおSMの株式の3.65％を保有しているが、プットオプション付き（予め定められた価格で売却できる権利）なので、いずれこの分もHYBEに売ることになりそうだ（朝鮮日報日本語版の記事を参照）。

SM経営権を巡る泥沼の争い―3月31日の株主総会までに決着を望むが、保証はない

現在、SMの経営権を巡る泥沼の争いが繰り広げられている。3月31日のSM定期株主総会までに、すべて決着してくれるといいのにな、と思うが、その保証はない。

HYBEはSMの筆頭株主になったが、カカオがこのままSMの新株と転換社債を取得してSMの2番目に大きな株主になるのかどうかで、経営権争いの展開が変わってくる。カカオはどうするだろう？

SMの2番目の大株主になっても、筆頭株主のHYBEが実質的に経営を主導して、カカオにとってのメリットがなければ、カカオがSMから手を引く可能性もあるだろう。ちなみに、カカオがSMとの提携に失敗して撤退すれば、JYPエンターテインメントの買収を検討するだろうと思っている人もいるようだが、今のところ根拠に乏しい。

だが、カカオのバックには中国資本（テンセント？）がいるとの見方もあり、カカオがそう簡単に引かないとなれば、厄介かもしれない。

3月31日の株主総会以降もSMの新経営体制（HYBEが送り込む役員を含む）で内部抗争が続くなら、意思決定機能に支障をきたす恐れも出てくる。それはSMの株主、社員、アーティストにとって、マイナスにしかならない。

泥沼―HYBEはカカオによるSM株取得契約に問題を発見し取引中止を要求、SM現経営陣はHYBEを非難

これまで、カカオがSMの新株および転換社債（株式に転換できる社債）を第三者割当で取得する契約の詳細、特にカカオが今後SMからどんな権益を得るかがSMやカカオから語られることがなかったが、内部文書を入手したHYBEは驚くべき問題を発見したとして、カカオのSM株・転換社債取得の中止を求めている。

HYBEの見解によると、SMとカカオとの契約はアーティストや株主に被害をもたらすもので、必要な民事・刑事上のすべての法的措置を取るとしている（Kstyleの2023年2月24日12時3分配信の「HYBE、SMにKakaoとの契約中止を要求『アーティストや株主に被害』」を参照）。刑事って･･･立件されれば逮捕者が出るかもしれないということだ。

しかし、SM経営陣はHYBEのこの主張の一部を否定し、HYBEを非難した（Kstyleの2023年2月24日18:33配信の「SM、買収をめぐり再び非難『HYBEの、HYBEによる、HYBEのためのK-POP産業を構築しようとしている』」を参照）。泥沼抗争の様相だ。

現時点では考えにくいが、今後の新事実発覚・新展開によって、HYBEがビジネス的損得を総合判断した結果、SMから手を引く事態となればどうだろう。

もはやSM単独ではやって行けない。HYBEとカカオとどちらがSMアーティストにプラスか？

素人が生半可な理解で断定的なことを言えるほど簡単な話ではないが、1つ言えるのは、どんなにSMファンがSMアーティストとSMカルチャーの現状維持を望んでいても、SMはもはや自力での経営立て直しと世界での収益拡大は不可能と判断したから、カカオと組むことにしたはずだ。

勤務先の環境が、突然の企業買収や合併で一変し、元には戻れないという辛さは、筆者も経験がある。辛かったり嫌だったりするだろう、SM社員も、SMアーティストも、SMファンも。でも、元の古きよきSMには戻れない。

SMアーティストにとって、カカオが入ってくるのと、HYBEが入ってくるのと、どちらがプラスだろうか？

HYBEは既にSMについて沢山のことを述べ、SMの現経営トップはHYBEに猛反発しているが、カカオがSMについて公に語ったことは（少なくとも筆者が知る限り）ない。

筆者の個人的な印象では、世界で活躍したいSMアーティストにとっては、カカオよりもHYBEと組んだほうがプラスになるだろうと思っている。カカオの傘下のSTARSHIPエンターテインメントには、MONSTA XやIVEがいるが、どう見ても、HYBEのアーティストたちのほうが、はるかに世界的に活躍できている。

カカオと組んだほうがSMアーティストの未来が明るくなる、と思える具体的根拠が思いつかない。ただし、SM現経営トップは、HYBEと組めば自分たちは失業しそうだから地獄、カカオと組めば天国と考えるだろう。

HYBEがK-POPで断トツ一強となる弊害は？でも世界市場にライバルはいる

一方で、島国・日本のボーイズグループ市場でジャニーズ一強によるジャニーズ忖度や成長機会減少などの弊害に筆者はうんざりしてきた。正直、マルチレーベル間の競争はあるとはいえ、HYBE一強がさらに強まって企業間の競争原理が働きにくくなれば、HYBE忖度も強まるだろうし、K-POP市場にとって好ましくないかもしれないとは思う。頑張れ、JYP、YG！

もっとも、HYBEだって、無名の弱小事務所・BigHit Entertainmentからのスタートで、BTSの世界的大成功で頭角を現し、のし上がった。今後も中小事務所に全くチャンスがないとは思わない。

また、HYBEが今後の競争の舞台は韓国国内市場ではなく、世界市場だと思っているなら、ライバルはJYPやYGというよりも、たとえば世界三大レーベル（ユニバーサル、ワーナー、ソニー）と考えるかもしれない。

どこかにライバルがいれば、競争原理が働き、切磋琢磨でき、よりよい作品・サービスを追求する姿勢は保てるだろう。

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イベント情報

2023年
1/1(日) 13:00～「SMTOWN LIVE 2023」
1/9(月) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@米国・シカゴ
1/11(水) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@米国・ヒューストン
1/13(金) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@米国・アトランタ
1/18(水) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@ブラジル・サンパウロ
1/19(木) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@ブラジル・サンパウロ
1/20(金) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@ブラジル・サンパウロ
1/22(日) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@チリ・サンチャゴ
1/25(水) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@コロンビア・ボゴタ
1/28(土) 「NCT 127 2nd TOUR ‘NEO CITY - THE LINK’」@メキシコ・メキシコシティ
2/1(水) 19:00 「NCT 127 ‘Ay-Yo! コメンタリーライブ」（YouTube NCT 127チャンネル/ TikTok NCTチャンネル）
2/17(金) 17:00 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2: In A DREAM’ - in JAPAN」@大阪・京セラドーム大阪
2/18(土) 16:00 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2: In A DREAM’ - in JAPAN」@大阪・京セラドーム大阪
2/19(日) 16:00 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2: In A DREAM’ - in JAPAN」@大阪・京セラドーム大阪（WOWOWライブとWOWOWオンデマンドで生中継、映画館でライブビューイング）
3/4(土)～6(月) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠インドネシア・ジャカルタ
3/10(金)～12(日) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠タイ・バンコク
3/25(土) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠中国・香港
3/28(火) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠イギリス・ロンドン
3/30(木) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠フランス・パリ
4/3(月) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠ドイツ・ベルリン
4/5(水) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠米国・ニューアーク
4/7(金) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠米国・シカゴ
4/9(日) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠米国・アトランタ
4/12(水) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠米国・ヒューストン
4/14(金) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠米国・ダラス
4/18(火) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠米国・ロサンゼルス
4/21(金) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠米国・シアトル
4/29(土)・30(日) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠フィリピン・マニラ
5/1(月) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠シンガポール
5/13(土) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠中国・マカオ
5/20(土) 「NCT DREAM TOUR ‘THE DREAM SHOW2’」＠マレーシア・クアラルンプール

商品情報（PR）

*NCT DREAMの2023年8月23日（水）発売のBlu-ray「NCT DREAM THE MOVIE: In A DREAM」は、NCT DREAM初の映画作品で、2022年9月の「THE DREAM SHOW2: In A DREAM」ソウル公演を映画形式に再構成し、ドキュメンタリーやインタビューを加えたもの。プレミアム・エディションには、ScreenXの限られた劇場のみで上映された、コンサート実況映画史上最大規模の専用カメラ18台を投入して制作された3面スクリーンの本編映像も収録。

*NCT DREAMの2023年7月17日（月）18時韓国発売の3rdフルアルバム「ISTJ」は、出会って愛を育んでいくストーリーのハイブリッド・ヒップホップ・ダンス曲のタイトル曲「ISTJ」をはじめとする、多彩なジャンルの全10曲を収録。先行公開曲「Broken Melodies」は、愛する人と遠く離れている状況で愛を守るために何でもするという意思を込めた曲で、2023年6月19日（月）18時に配信リリース。CDパッケージは、Vending Machine Ver.、Photobook Ver.（Introvert Ver./ Extrovert Ver.）、Poster Ver.（7種）があり、このほかCDなしの7DREAM QR Ver.（7種）もある。

*NCT/ NCT 127のドヨン、ジェヒョン、ジョンウによる3人組ユニット・NCTドジェジョン（NCT DOJAEJUNG）が、2023年4月17日（月）に1stミニアルバム「Perfume」を発売してデビュー。愛する相手に自分の香りを残そうというメッセージが込められたタイトル曲「Perfume」をはじめ、愛をテーマにした全6曲を収録。CDアルバムはPhotobook Ver.とBox Ver.（3種）で販売開始し、Digipack Ver.（3種）が追加された。日本では輸入盤となり、種類を選べないストアもある。