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・ユメキの振付は高難度、それをこなせるTAGRIGHTはハイレベルなグループ
・映る尺(分量)の差の意味―TAGRIGHTは西山中心のグループか/ ダンス初心者ジェイは成長ストーリーで勝ち残る?
・ダンスが上手なメンバーに足りないもの―ユメキが問題の核心に触れる
・『シューイチ』で手越祐也が第3話短縮版を見てコメント―大事なのはメンタル、上手さが全てじゃない
・イベント情報
「タイプロ」のセミファイナリストの西山智樹と前田大輔がホリプロで新・5人組ボーイズグループ・「TAGRIGHT」の候補生5人との2回の合宿を通じてメンバーを決定するプロジェクトの第3話の短縮版が、2025年12月14日(日)の日本テレビ系「シューイチ」で9:55頃より放送され、直後にHuluで完全版が配信された。
第3話では、「BOYS II PLANET」ファイナリストで著名振付師・ダンサーのユメキ(YUMEKI)が、ダンスのトレーナーとして、7人に猛特訓し、中間評価の講評をした。ユメキが指摘したダンスが上手な候補生たちに足りないものが、問題の核心に触れていた。
「シューイチ」で第3話の短縮版をVTRで観たゲストの手越祐也が、一般論として、アイドルなどに必要なものは何かについて、興味深いコメントをした。
ユメキの振付は高難度、それをこなせるTAGRIGHTはハイレベルなグループ
以下、ネタバレに留意されたい。
「TAGRIGHT」のメンバー決定プロジェクトの第3話では、「BOYS II PLANET」(ボイプラ2)ファイナリストでK-POPの著名振付師・ダンサーのユメキ(YUMEKI)が、ダンスのトレーナーとして登場した。
ユメキは西山が作詞作曲した課題曲「FOREVER BLUE」の振付を手がけ、全員に振り入れ、猛特訓を行い、グループでのダンス・パフォーマンスの中間評価をした。
5人の候補生は、「PRODUCE 101 JAPAN Season2」(日プ2)ファイナリストで韓国ボーイズグループ・TO1のメンバーだった小林大悟、「応援HIGH」に出演していたSHINこと岸波志音(シオン)、韓国ボーイズグループ・TFNのメンバーで「UNIVERSE LEAGUE」に出演していたカイリ(今井魁里)、アメリカでテニス選手だった京都の大学生・ジェイ、「タイプロ」に出演していたセイマだ。
ユメキが考案した振付は、TAGRIGHTが実力派グループとして認知されること請け合いの、高難度のものだった。それでも、ダンス初心者のジェイ以外は、1日練習すると踊れるようになっていて、実力者ぶりを見せた。
ユメキはジェイに、自分は低いレベルに合わせることはしない、高いレベルのその上に照準を合わせている、だから他のメンバーよりもはるかに沢山の練習が必要だ、と告げた。
映る尺(分量)の差の意味―TAGRIGHTは西山中心のグループか/ ダンス初心者ジェイは成長ストーリーで勝ち残る?
筆者は沢山のオーディション番組を観てきたが、共通して言えるのは、番組が推している候補者や、(収録とオンエアの時間差のためまだ公表できないが)既に勝ち残った候補者が映る尺(分量)が多く、番組が推していない候補者や、既に脱落した候補者が映る尺が短いことだ。
実は、第2話では、筆者が個人的に「日プ2」から見ていて心配していたダイゴ(小林大悟)がほとんど映らなかったので、もしやダイゴは既に脱落しているのだろうか、と気になっていた。
今回の第3話では、7人の映っていた尺(分量)には明らかに差があった。最も多くの尺がもらえた上、ダンスのポジションでもセンターもしくはキリングパート(見せ場の美味しいパート)がもらえていたのが、このプロジェクトのリーダー的存在の西山だった。ホリプロとしては、TAGRIGHTを西山中心のグループにしたいのだろう、と思わせた。
今回西山に匹敵するほど多くの尺(分量)があって、ハイライトされていたのが、ダンス初心者のジェイだった。おそらくジェイは、初心者が猛練習して成長していくストーリーの主役的存在なのだろう。
多くのオーディション番組にはそういう成長ストーリーの主役がいる。たとえば、「タイプロ」でダンス初心者だったにもかかわらず、猛練習してtimelesz追加メンバーとして勝ち残った篠塚大輝だ。きっと、西山・前田(もしくはホリプロ)は、ジェイをデビューさせたいんだろうな、と思わせた。
パート決めプロセスについてはHulu完全版でも省略されていた。おそらく、各候補生が希望を述べたのではなく、課題曲「FOREVER BLUE」を作詞作曲した西山が7人のパートを決めたのだろう、と推定される。そのパート割りと各メンバーのスキルを踏まえて、ユメキが振付とフォーメーションを考案したはずだ。
編集カットされた部分もありそうだが、Huluでオンエアされた中間評価のパフォーマンスで見る限り、センター・キリングパートは西山が務めていた。冒頭に西山だけ前を向いていたし、サビをはじめ、多くの場面でセンターにいた。
TAGRIGHTは西山中心のグループとなりそうだ。これについては、「シューイチ」で視聴していた手越祐也のコメント(下記)が実質的にその是非を問うものだった。TAGRIGHTのメンバーで一番華・スターのオーラがあるのが西山と言えるのなら、それでいいのだろう。
ただ、西山がグループのエースであるとして、本人はその重責を分かっているのだろうか、という気もした。
TAGRIGHTは全員温厚なメンバーのグループになりそうな気もするが、個性が弱いグループだと、前回ボーカルトレーナーの安倉さやかが警告したように「チームごと落とされるよ、業界に」ということにもなりかねない。
西山以外の6人のパート割を見ると、ダイゴがセンターに来てハイライトされる場面が多く、ダンスも上手だった。シオンがセンターに来た時も、存在感があった。
ユメキは全員の見せ場を作ったはずと思われるが、オンエアされた映像では、セイマだけは1度もセンターに来ることがなかった。セイマが目立つ部分を編集カットしたのであれば、セイマは番組に推されていない、ということか。
ダンスが上手なメンバーに足りないもの―ユメキが問題の核心に触れる
筆者が興味深かったのが、ユメキが1人ずつ踊らせて、講評を述べたところだった。この部分のHuluの編集は雑で、ダイゴ、シオン、カイリを3連分割画面でまとめて映し、ユメキのコメントが誰に対するものかが曖昧だった。
この部分に関しては、「シューイチ」の編集のほうがHulu完全版よりもはるかに丁寧で、筆者が知りたかった、ユメキのダイゴに対するコメントが、はっきりと分かった。
ユメキはダイゴのダンスについて、「上手。上手いですけど、記憶に残らない。何か無難な感じ。自分の弱い部分とか、別に見せてもいいし」と評した。その言葉に、ダイゴは動揺したように見えた。筆者もシビアな言葉にぎくっとなった。
番組のナレーションではダイゴについて、「日プ2」の最終13位での脱落(11位までがデビュー)とボーイズグループ・TO1の解散という「2度の大きな挫折」と語っていたが、実はダイゴは最近3つ目の大きな挫折を経験していた。
TO1解散後にダイゴは大手SMの練習生になってさらに実力に磨きをかけたものの、「SMTR25」のデビュー候補組に入れず、SMを退所していた。「日プ2」では視聴者投票で順位が決まり、追加メンバーに起用されたTO1は元々人気が低いグループだったから解散に至った。
しかし、SMではSM幹部というプロ中のプロに、デビュー組に選んでもらえなかった。その理由が告げられたのかどうかは分からないが、ユメキの言葉がその理由(個性の弱さ)を示唆したから、ダイゴが動揺したのかもしれない。
ユメキはカイリには「遠慮しすぎ。それはこっちに失礼」と述べた。カイリはK-POPアイドル時代の写真では華があるように思えたが、今回のプロジェクトでは見た目は目立つほうだが、振る舞いが控えめで、ギャップが大きいと筆者は思っていた。
遠慮しすぎに見えるのは、挫折で自信喪失したからだ。自信を回復するのは容易ではないが、そうしなければならない、とユメキは示唆していた。
「シューイチ」の編集では、ユメキはシオンには「自信がなさそう。自分のポテンシャルは自分で弾き出さなきゃダメ」と言っていた。Huluでは「正直に言っちゃうと、これじゃダメ。自分に厳しくしていると思うけど、これだと、ただデビューして終わり」と述べている部分がオンエアされた。
さらにユメキはHuluでは誰かに向かって、「上手ですけど、それ以上のものがない。ポテンシャルとか自分のMAX、自分が出せるところを抑えちゃっている感じ」と述べていて、「殻を破れ」とはっぱをかけていた。
「殻を破れ」はいろんなオーディション番組で聞いたセリフだ。「タイプロ」で菊池風磨も言っていたし、筆者の記憶が正しければ、「No No Girls」のちゃんみなもそのスタンスだった。「ボイプラ2」のサンウォンも中間評価とかでそういう趣旨のことをトレーナーに言われていた。
自分を開放して感情や個性をさらけ出すのは、その人の性格によってはとても難しいが、ステージで観客を惹きつけるには必要なことだ。
『シューイチ』で手越祐也が第3話短縮版を見てコメント―大事なのはメンタル、上手さが全てじゃない
「シューイチ」で第3話の短縮版をVTRで観たゲストの手越祐也が、以下の興味深いコメントをしていた。
「未来に向かって頑張るパワーって、何物にも代えがたいものがありますし。同じグループだったりとか、歌って踊るっていうジャンルで20年以上やってきてるんで。素晴らしいなっていうところと、ここもうちょっとだよなっていうところが、正直」
「僕が最近のアイドルとかに思うのは、一番足りないという部分はやっぱりメンタルですね。振付師の先生(ユメキ)は、ジェイ君のスキルを見てないと思うんですよ。サッカーでもテニスでも野球でも、10年やっている人に1カ月だと、絶対スキルでは勝てない。でも、それを覆すぐらいのオーラとか表情とか、たぶん未来を見ていると思うんですよ」
「プロになる以上、上手さが全てじゃない。(上手い人は)いっぱいいるんで。ステージ上のオーラとか将来スーパースターになるかっていうのは、僕はメンタリティーだと思うし。仲良しこよしでグループは成立しないと思うので。絶対エースになるメンタリティーがなきゃいけないと思う」
ドラマの役作りのために黒髪にしている手越は「金髪の手越だったら言いやすいんですよ」と笑いを誘っていたが、語った内容は的を得ている、と筆者は思った。
手越はあくまでも一般論として話したが、今のTAGRIGHTの西山・前田と5人の候補生にも、当てはまっていると言えるのではないか。
合宿で一緒に過ごして、西山と前田が気の合う候補生を選んで一緒にデビューする、という方針が悪いわけではない。だが、ボーイズグループ戦争の中で、TAGRIGHTが売れるグループになるためには、歌やダンスのスキルとチームワークだけでは足りない。
某オーディションで結成されたが人気が低迷している某グループを見ると、ちゃんみなが侮蔑的に言っていた「単なる上手い人」が集まっただけのグループでは売れないんだな、と思う。
売れるためには、スターオーラのあるメンバー、スーパースターになってやる、という野心のあるメンバーが必要だろう。西山・前田がメンバーを決定する際には、そういうことも念頭に置くべきだ。
イベント情報
2026年
1/7(水)~10(土) 「TAGRIGHT showcase -REVEAL as 1-」@東京・日本青年館ホール
TAGRIGHTの記事:
2025年12月8日付 西山智樹・前田大輔『TAGRIGHT』メンバー候補に小林大悟ら、Aile The Shotaやユメキも出演
2025年11月24日付 『タイプロ』出身西山智樹・前田大輔のホリプロTAGRIGHTに日プ2小林大悟、『応援HIGH』SHIN、韓国UL出身カイリ合流か
