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・&TEAM怒涛の韓国活動―3週間に延べ13の韓国音楽番組と4以上のバラエティに出演、無料ファンイベントも
・&TEAMはまだ韓国デビュー(韓国盤の音盤発売)せず、露出増加と新規ファン獲得を最優先
・NiziUは&TEAM同様、まず韓国で売れなければ、本格的世界進出をさせてもらえない可能性大
・JO1とINIは韓国音盤デビューを経由しない世界進出もありか→K-POPのマネと思われないことも大事
・何をもって世界進出の成功と定義づけるか?
「&AUDITION」で誕生し、2022年12月7日にHYBE LABELS JAPANからデビューした9人組多国籍ボーイズグループ・&TEAM(エンティーム、韓国風だとエンティム)が、2023年6月下旬~7月上旬の約3週間の集中的韓国活動を終えた。
&TEAM怒涛の韓国活動―3週間に延べ13の韓国音楽番組と4以上のバラエティに出演、無料ファンイベントも
&TEAMの韓国活動は、まさに弾丸方式の、怒涛の出演ラッシュだった。この3週間に、&TEAMは延べ13の韓国の音楽番組にパフォーマンス出演するだけでなく、少なくとも4つのバラエティ番組(HYBE以外のYouTubeコンテンツを含む)に出演した(下表)。パフォーマンスの模様は個人別チッケムも含め、全てYouTubeで全世界に公開されている。
しかも、&TEAMは番組出演の合間に、韓国でのファンイベントも開催した。もちろん、韓国活動中もYouTubeの&TEAMチャンネルに自分たちの音楽関連もしくはバラエティのコンテンツも、幾つも公開した。働かせずぎじゃないの、奴隷労働まがいじゃないの、と思えたほどだ。
図表1 &TEAMの韓国活動 2023年6月20日~7月9日
6/21(水) YouTubeバラエティ番組「Idol’s Physical Race」
6/22(木) Mnet音楽番組「MCOUNTDOWN」
6/23(金) YouTubeバラエティ番組「Tingle Interview」
6/23(金) KBS音楽番組「Music Bank」
6/24(土) YouTubeバラエティ番組 「Idol Human Theater」
6/25(日) SBS音楽番組「INKIGAYO(人気歌謡)」
6/27(火) SBSケーブルTV音楽番組「THE SHOW」
6/29(木) KBSバラエティ番組「Eunchae’s Star Diary」(「Music Bank」MC・LE SSERAFIMのウンチェとのトーク)
6/29(木) Mnet音楽番組「MCOUNTDOWN」
6/30(金) KBS音楽番組「Music Bank」
7/2(日) SBS音楽番組「INKIGAYO(人気歌謡)」
7/4(火) KBS YouTube音楽番組「Leemujin Service」(NICHOLAS単独出演)
7/5(水) MBC MUSIC音楽番組「SHOW CHAMPION」
7/6(水) Mnet音楽番組「MCOUNTDOWN」
7/7(金) KBS音楽番組「Music Bank」
7/8(土)・9(日) SBS「KPOP Magazine」
7/8(土) JTBC音楽番組「MUSIC UNIVERSE K-909」(BTS「RUN」披露)
7/9(日) SBS音楽番組「INKIGAYO(人気歌謡)」
出所: &TEAM公式サイト
&TEAMはまだ韓国デビュー(韓国盤の音盤発売)せず、露出増加と新規ファン獲得を最優先
&TEAMはいわゆる「韓国デビュー」とみなされる、韓国盤の(CDアルバム等の)音盤発売はしていない。2023年6月14日(水)に日本で発売した2nd EP「First Howling: WE」は日本語詞曲4曲と韓国語詞曲2曲を収録し、韓国のリスナーに向けては、配信もしくは日本発売2nd EPの輸出盤(海外向け販売ルートを強化した)で楽曲を届けた。
韓国デビュー(音盤発売)していない理由は、筆者の推測だが、現時点ではまだ韓国内のファン数が少なく、音楽チャート(HANTEOチャートとCIRCLEチャートのアルバム販売数や韓国国内Melon配信チャートなど)でHYBEが納得できる成果を上げられないと判断しているからだろう。チャート成績が悪いと、音楽番組に出演しづらくなってしまう。
だから、日本のLUNÉ(&TEAMファン)の一部の嫉妬や反発を招いた、韓国での無料ファンイベントも開催した。日本ではありえない。だが、人気K-POPアイドルだって、日本進出当初は無料ライブを開催したりしていたのだ。HYBEは、今はとにかく韓国で露出を増やして新規ファンを獲得すべき時期、と考えているのだろう。
これだけ凄まじい音楽番組等のメディア露出ができるのも、K-POP最大手のHYBEだからだ。
ちなみに、HYBE傘下のKOZエンターテインメントから2023年5月30日(火)に1stシングル・アルバム「WHO!」(3曲収録の音盤)でデビューしたボーイズグループ・BOYNEXTDOORは、デビュー作の初動売上が昨年デビューのHYBEファミリーのガールズグループのLE SSERAFIM(SOURCE MUSIC所属)やNewJeans(ADOR所属)よりもかなり少なかったが、&TEAMとほぼ同時期に、やはりいろんな番組に出演していた。
NiziUは&TEAM同様、まず韓国で売れなければ、本格的世界進出をさせてもらえない可能性大
今回の&TEAMの怒涛の韓国活動を見て、&TEAMよりもかなり先に日本でデビューした、韓国資本系事務所のNiziUやJO1やINIはどうするだろうか?
NiziUの場合は、韓国の大手事務所のJYPエンターテインメントの所属だから、HYBE同様、韓国で売れなくていいという選択肢はないだろう。
だが、NiziUのグループカラーは、筆者から見ると、TWICEの日本市場仕様的で、近年JYPからデビューしたガールズグループのITZYやNMIXXのカラーとはかなり異なる。日本仕様のカラーのNiziUが、韓国でどれだけ人気が得られるのか、分からない。
JYPの実質的トップであるJ.Y.Park(パク・ジニョン)PDは、NiziUはまず日本でしっかり人気の地盤を固めてから、世界を目指す、という方針をとっている。おそらくHYBE同様に、NiziUが今韓国で音盤デビューしても、良い成績を上げられる自信がないのだろう。NiziUの韓国デビューを成功させるには、何らかの武器が必要だ。それは「日本で大人気」という肩書かもしれない。
この点、NiziUは既に東京ドーム公演を成功させ、2023年9月17日(日)・18日(月祝)には、初のスタジアム公演「NiziU Live with U 2023 “ココ!夏 Fes.” -Stadium Special-」を千葉・ZOZOマリンスタジアムで開催する。「東京ドームとスタジアム公演を成功させた」という実績がPRできれば、韓国デビュー(韓国盤のアルバム発売)の機が熟すのではないか。
ただ、JYPでは第4世代のセルフプロデュース・ボーイズグループStray Kidsは飛ぶ鳥を落とす勢いの世界的大人気だが、最近のJYPのガールズグループは、ひと頃よりも苦戦している感がある。それはJ.Y.Parkの作る楽曲がやや古い曲調なのも、一因ではないかと思われる。
JYPがその気になれば、NiziUを沢山の韓国の音楽番組に送り込むことは十分可能なはずだが、問題は確実に売れるためのNiziUの楽曲とグループカラーや売り込みの戦略をどうするかだろう。NiziUの場合は、韓国デビューを成功させて、そこからワールドツアーに繋げるという手順になるのではないか。
JO1とINIは韓国音盤デビューを経由しない世界進出もありか→K-POPのマネと思われないことも大事
JO1とINIが所属するLAPONEエンターテインメントは、&TEAMやNiziUのような、韓国大手事務所の100%子会社ではないから、少々事情が違うかもしれない。
LAPONEエンターテインメントの過半数出資の親会社は韓国CJ ENMだが、日本の大手事務所の吉本興業も出資している。このため、韓国でしっかり売れるというプロセスを踏んでからのワールドツアーでないとプライドにかかわるという度合いは、&TEAMのHYBEやNiziUのJYPほどではないかもしれない。
JO1もINIもCJ ENMが運営するMnetの音楽番組「M COUNTDOWN」やMBCラジオのアイドル番組(同時に映像での生配信あり)に出演実績はあるが、いつも単発だ。&TEAMが3週連続で「M COUNTDOWN」に出演し、その期間に延べ13の音楽番組に怒涛の出演を果たしたことを思えば、韓国の音楽番組への露出が少なすぎる。
一方で、今のところ、CJ ENMの主催する「KCON」や「MAMA AWARDS」への優先出演権はある。日本での人気維持が条件と思われるので、やはり日本でしっかり売れ続けることが大前提だ。
本日(7月10日)韓国デビューする「BOYS PLANET」出身のボーイズグループ・ZEROBASEONEが、CJ ENMファミリーではENHYPEN(HYBEとの合弁)に次ぐドル箱になる見込みで、「I-LAND2」から生まれるガールズグループも期待されているため、JO1やINIは人気をキープできなければ、「KCON」などで優先されなくなる可能性もある。
海外進出に関しては、2020年3月に日本でデビューしたJO1は、韓国デビュー(音盤発売)の予定は今のところ聞こえてこないが、既にアジアツアーを開催すると発表している。台湾や東南アジアの一部の国・地域では、ジャニーズもコロナ禍前にライブ開催の実績があり、日本のアイドルにはK-POP勢がしのぎを削る韓国で集客するよりも、容易かもしれない。
以前筆者は、JO1がまず成功してからINIが追随というLAPONE社長の方針を読んで、INIが可哀想だと思った。しかし、最近のJO1のパフォーマンスは抜群の安定感を発揮しており、まだ個人差があるINIよりも、パフォーマンス面に関しては、海外進出の準備がより整ってきたような気がしてきた。
ただし、海外でウケそうな楽曲というと、曲の個性がやや薄いJO1よりも個性の強いINIかな、という気がしなくもない。一方で、最近日本のソロアーティストのimaseが韓国のMelonチャートに登場できた例は、日本人がK-POPのマネごとをしていると思われるよりも、city popのような日本の有力ジャンルの楽曲で勝負したほうが、K-POP慣れした聴衆に評価されやすい可能性を物語っている。
何をもって世界進出の成功と定義づけるか?
最後に、問題は何をもって世界進出の成功と定義づけるかだろう。たとえば、ニューヨークのライブの聖地・アポロシアターでライブを1回開催できたら、世界進出に成功した、と誰もが認めるだろうか?(情報番組ご意見番Wさんや、海外居住のY氏はそこでライブを開催した)
アジアツアーや、その先の視野にあるアメリカツアーを空席祭りにしないで、一定の動員数を達成するとか、米ビルボードのアメリカやグローバルの主要チャートとか、Spotifyなどの海外の有力配信チャートに登場するとか、そういう数字で評価されることになるのだろう。
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