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HYBEがSMエンタ買収を検討中、1カ月以内に結論を出す意向

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HYBEがその気になれば筆頭株主のイ・スマン氏の持分を上回ることも可能なはず
HYBEに買収されることを嫌がるSMの社員・アーティストやファンもいるが・・・/ 買収は普通、リストラを伴う
HYBEにとっての損得、SMにとっての損得は?

BTSを輩出し、今やK-POP芸能事務所の枠を超えて世界展開する巨大なエンタテインメント企業となったHYBEが、K-POPのパイオニアの大手事務所・SMエンターテインメントの買収を検討中であることが、明らかになった。

2023年2月9日に、韓国証券取引所の公示要求に応じて、HYBEは「当社はSMエンターテインメントの持分(株式)の公開買い付けなど、買収に関する事項を継続して検討中だ」と正式にコメントした(2023年2月9日配信のKstyleの記事およびWow!Koreaの記事を参照、一部の用語を日本で一般的に用いられている表現に改めた)。

さらにHYBEは、「本公示時点で確定したことはない。今後本件に関して具体的なことが確定した時点、または1カ月以内に再公示する」と付け加えた。つまり、HYBEは2023年3月8日までに、SMの買収の可否を最終判断し、発表する予定だ。

以下は金融や企業買収・合併の専門家でも何でもない、ただのK-POPオタクの個人的な理解と感想だ。

HYBEがその気になれば筆頭株主のイ・スマン氏の持分を上回ることも可能なはず

今回の公示の2日前の2月7日に、SM店ターテインメントはKakaoエンターテインメントと戦略的パートナーシップ締結し、同時に、Kakaoに対してSMの新株および転換社債(株式に転換できる社債)を第三者割当で付与する、と発表した。

現在、SMの発行済み株式総数のうち、創業者で2022年末まで総括プロデューサーだったイ・スマン氏が18.46%を保有し、筆頭(最大)株主となっている。

Kakaoが受け取るSMの新株と転換社債を全て株式に転換した場合の株数の合計は、SMの発行済み株式総数の9.05%に相当し、イ・スマン氏に次ぐ2番目の大株主となる見込みだ。

ただし、イ・スマン氏はSMの共同代表取締役のイ・ソンスおよびタク・ヨンジュンが自分に相談なくアラインパートナーズの提案するKakaoへの新株と転換社債の割り当てを決めたことに激怒し、当該新株および転換社債の発行差し止めの仮処分を求める申請書を、ソウル東部地方裁判所に提出した。このように、SMの経営権を巡って、イ・スマン氏とSMの共同代表取締役が泥沼の争いを展開している。

しかし、お金が余っているHYBEなら、その気になれば大量のSM株式を(株式市場での)公開買い付けなどを通じて、イ・スマン氏の持分を上回る筆頭株主になることも可能だろう。

HYBEは2023年2月9日に、グループの米国法人であるHYBE AMERICAがアメリカのヒップホップレーベルのQC Media Holdingsの全株式を取得して(つまり100%保有の子会社にして)、同レーベルを買収する契約を締結した、と発表した。また、2023年2月初めまでに、韓国でAIオーディオ技術企業のSupertone(スーパートーン)を買収した(Kstyleの2023年2月9日配信の記事を参照)。

HYBEは2021年にアメリカの総合メディア企業のIthaca Holdings(アーティストのマネジメントとやレーベルなどの業務を行っている)を買収済みだ。韓国内でも、アメリカでも、日本でも、HYBEは潤沢な資金を活用して、マルチレーベル展開を進めて行くつもりなのだ。まさに「HYBE1強」の様相になってきた。

HYBEに買収されることを嫌がるSMの社員・アーティストやファンもいるが・・・/ 買収は普通、リストラを伴う

当然、少なからざるSMの取締役や社員および所属アーティストやそのファンが、SMがHYBEに買収されることを嫌がっていると思われる。辞める社員も出るだろう。そういうネガティブな反応は、企業買収には付きものだ。だが、買収する側のHYBEは、SMで残したい人材には待遇を良くして、HYBEの一員となる魅力やメリットを力説して、引き留めようとするだろう。

大型企業買収・合併は普通、人員過剰になるから、リストラを伴う。HYBEの場合、傘下入りさせたPLEDISの所属の人気ボーイズグループ・SEVENTEENのプロデュースは、PLEDISが独自性をほぼ維持できているが、PLEDISに所属していたボーイズグループ・NU’ESTや、HYBE傘下入りさせたSOURCE MUSICに所属していたガールズグループ・GFRIENDは解散となった(HYBEの指示による解散かどうかは明らかにされていない)。

HYBEがSMを買収した場合、SMの所属アーティストのうち、残されて推される者と、残れない者、残れても推されず次回の契約更新が困難な者に、分かれることになるだろう。

HYBEにとっての損得、SMにとっての損得は?

SM経営トップがKakaoとの業務および(新株・転換社債発行による)資本提携に踏み切ったのは、現状に危機感を持っている上、今後自力でグローバルで収益を拡大して行ける自信がないからだろう。今から思えば、SMが最近発表した経営戦略(「SM3.0」)も、Kakaoとの提携を前提としたものだったのだ。

SMがどこかと資本提携する、あるいはどこかに買収されるのでは、との憶測は、イ・スマン氏が2022年末に総括プロデューサーを退くかなり前からあり、相手企業候補としてHYBEの名前も出ていた。SM経営トップはKakaoを選んだが、イ・スマン氏がKakaoとの提携を頓挫させようと法的措置に動いた。

当然、HYBEとしては、イ・スマン氏の動きを受けてSMとKakaoの業務・資本提携が破断になるのか、HYBEが買収した場合にSMの経営・収益見通し・世論はどうなるのか(HYBEにとっての損得)、SMにどういうリストラが必要になるのかなどを、慎重に見極めた上で、遅くとも3月8日までに、買収するかどうかの結論を出すことになる。

HYBEがSMを買収するとなると、筆者は長年のSMペンのようにSMに愛着を持っているわけではないので、嫌ではないが、でも大きくなりすぎないか? SMの現在の共同トップが、HYBEに買収された後も残れるかは怪しいと思う。

逆に、HYBEがSMを買収しないことに決めて、SMとKakaoの提携もイ・スマン氏の訴訟によって破断になった場合、一番困るのはSMなのではないか? SMが経営危機に陥るわけではないだろうが、恩人とはいえ御年70歳の筆頭株主・イ・スマン先生の老害に振り回され続けて、今後事務所のパワーがどんどん弱まって行くリスクがあるのでは?



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