(目次)・TOP
・個人的感想― 一部JO1・INIのファンへの過剰反応で非効率の可能性もあるが、仕方がない
・会社を分ければ社内恋愛がなくなるわけではない。結局はJO1設立時からの根回し欠如のせい
・別会社にすれば手間も2倍で非効率、だが今は仕方がない
JO1、INI、DXTEENを擁する株式会社LAPONEエンタテインメントは、2024年2月15日に、新法人「株式会社 LAPONE GIRLS」を設立した、とLAPONEエンタテインメントの公式サイトで発表した。
この書き方だと、株式会社 LAPONE GIRLSは、LAPONEエンタテインメントの子会社の位置付けだ。LAPONE GIRLSの株主は100%、LAPONEエンタテインメントだろう。両会社とも代表取締役社長はチェ・シンファ(崔信化)氏で、所在地も同じだ。LAPONEの練習室は新旧2つあるとの情報を見かけたことがあるが、計4グループと練習生が共用すると思われる。
なお、LAPONEエンタテインメントは韓国CJ ENMと吉本興業が持ち分比率7対3で出資した合弁会社だ。厳密には、韓国CJ ENMがLAPONEエンタテインメントの株式の過半数(7割)を保有しているので、持ち株率による力関係はCJ ENMのほうが吉本よりも強く、両者で意見が異なる場合は持ち株多数決の原則により、CJ ENMのほうが優先される。
新法人「株式会社LAPONE GIRLS」は、これまでLAPONEエンタテインメントで培ってきたノウハウを活かしながら、所属のガールズグループを専門的に育成し、グローバルで活躍できるようサポートしていくために設立されたという。
既に2023年のサバイバル・オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」で誕生した11人組ガールズグループ・ME:I(ミーアイ)が「株式会社 LAPONE GIRLS」に専属契約アーティストとして所属し、4月17日(水)にデビューすることが決定している。日プ女子の派生グループや女性練習生も、おそらくここに所属することになる。
LAPONEエンタテインメントのチェ社長が会社の株主になったという情報はないので、LAPONEエンタテインメントは株主であるCJ ENMと吉本興業の意向に従わなければならない。株式会社は株主のものだからだ。
LAPONE GIRLSは親会社のLAPONEエンタテインメントの意向に従わなければならないが、LAPONEエンタテインメントはCJ ENMと吉本興業の意向に縛られるので、LAPONE GIRLSもCJ ENMと吉本興業の影響を受けざるをえない。たとえば、KCONを主催するCJ ENMがKCONでJO1・INI・DXTEENとME:Iがコラボをしろと命じれば、そうするしかない。
個人的感想― 一部JO1・INIのファンへの過剰反応で非効率の可能性もあるが、仕方がない
筆者個人的には、ガールズグループ・ME:Iを、わざわざボーイズグループJO1、INI、DXTEENとは別の(子)会社の所属としたのは、JO1やINIの一部ファンの女性グループ誕生への強い反発への対応だろうと推察している。この決断は、過剰反応で非効率となる可能性もあるが、今は仕方がないだろう、と思っている。
ちょうど、BE:FIRSTの所属会社のBMSGの社長のSKY-HIが、新たにガールズグループをちゃんみなのプロデュースのオーディションを経て誕生させて所属させるために、BMSG内に別の法人を設立する方針を発表していた。
理由は、ちゃんみなのプロデュースによる業績結果を明確化する意図もあるだろうが、おそらくファンの反発心理も考慮しているのだろう、と筆者個人的には思っている。
今回のLAPONEエンタテインメントの「株式会社 LAPONE GIRLS」設立は、細部は不明だが、BMSGと同じような方式だ。
所属ボーイズグループの熱心なファンの中に、同じ事務所に女性グループや女性アーティスト・練習生が所属するのが耐えられない、というのは、そもそも最初のボーイズグループのオーディションを始める時点で「将来弟グループや妹グループを作るつもりです」と明言して、ファンに根回ししていなかったからだ。
特にLAPONEの場合は、JO1の弟分のINIを誕生させるオーディションを実施すると発表した段階で、JO1の熱心なファンの猛反発を買ってしまい、今に至るまでファミリー売りに強い抵抗感を持つファンがいるというありさまだ。
弟グループですら、拒否反応を示す熱心なファンがいるのだから、妹グループとなると、もっと嫌だろう。
会社を分ければ社内恋愛がなくなるわけではない。結局はJO1設立時からの根回し欠如のせい
もちろん、社内恋愛を懸念するファンが多いことが、無視できない事態となっていることも、別会社設立の理由だろう。
もっとも、筆者個人的には、練習室を別の建物にしようが、所属会社を別会社にしようが、恋愛が生じる時は生じる、と思っている。恋愛の火が付いたら、どんな障害があろうと、止められないものだ、とも思っている。
筆者なりに調べてみたが、社内恋愛が業務に支障をきたすとして禁止することは、違法ではないらしい。
しかし、社内恋愛が禁止されているからといって、実際に社員が密かに社内恋愛をしていたことがバレても、解雇などのペナルティーを科することはできないようだ。不倫はダメだが、独身者が恋愛する権利は、基本的人権の1つだから、裁判になると、企業が負けるとみられている。
事務所の立場からすると、考えようによっては、同じ芸能事務所所属のタレント同士の恋愛のほうが、他の事務所の所属タレントや一般人との恋愛よりも秘密が守られやすく、互いの素性も分かっているから、トラブルにもなりにくく、安全かもしれない。
韓国の大手事務所は、HYBEのように、マルチレーベル制をとっているところもあるが、各レーベルが男性だけ、あるいは女性だけ手掛けるというルールはないはずだ。HYBE傘下のBELIFT LABでは、ボーイズグループ・ENHYPENの妹グループ・I’LL-ITが間もなくデビューする。
SMエンターテインメントも、JYPエンターテインメントも、ボーイズグループとガールズグループの両方が所属していて、ファンが今さらそれに関して抗議することなどない。
LAPONEは上記のように、JO1を作った時点で、弟グループや妹グループを作るつもりだと根回ししなかったから、ファンの反発を呼んで、別会社(子会社)に妹グループを所属させるはめになったとみられる。
別会社にすれば手間も2倍で非効率、だが今は仕方がない
従業員何百人・何千人規模の大企業でもないのに、別会社にすれば、事務作業も会計処理も納税処理も2倍の手間がかかり、非効率になる可能性もあるが、ファンのことを考えると、現状では仕方がない。
もっとも、所属タレント側から見れば、LAPONEとLAPONE GIRLSは社長も同じチェ社長だし、設備や人的資源も共有できるはずなので、日常の活動はこれまでとほぼ変わらないだろう。
吉本興業の系列会社のShowtitleの所属だった日プ1派生グループの円神が、最近吉本興業本体に移籍したように、将来的にはLAPONE GIRLS所属のガールズグループが、所属会社ごとLAPONEエンタテインメントに統合される可能性もなきにしもあらずだ。だが、少なくとも向こう何年間は、別会社でやっていくことになるだろう。
一般企業では、親会社の社員の待遇が子会社の社員より良いことが多い。しかし、ME:Iはかなり強くて稼げるガールズグループとなる可能性を秘めている。ME:IがJO1やINI以上に爆売れした場合は、そのうちME:Iが子会社で立場が下みたいなのはおかしい、という意見が出てくるかもしれない。
そうなると、CJ ENMと吉本興業が出資するLAPONE持ち株会社を作って、その下に対等な男性グループ子会社と女性グループ子会社を作る(HYBE方式)、という企業再編の展開もあり得るだろう。
[PR]