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岐路に立つNiziU― 3rdシングル『CLAP CLAP』売上減は必然、大事なのは次の戦略

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NiziUのシングル売上激減の主因はコア・ファンの離脱、コロナ感染による番組出演キャンセルは主因ではない
NiziUは最初から恵まれすぎた成功体験を謳歌、運営はコア・ファンの不満にほとんど向き合ってこなかった
いきなり紅白出演のNiziUのコア・ファンは離脱、音楽番組になかなか出演できなかったJO1のコア・ファンはむしろ増えた
NiziUはどうしたい? 日本のガールズグループのトップを獲りたいのか、海外進出か?

K-POPのJYPエンターテインメントとソニー・ミュージックが共催したオーディション番組「Nizi Project」で2020年に誕生した9人組ガールズグループ・NiziUが、岐路に立っている。

NiziUの岐路は、このグループを(ライトにではあるが一応)見てきた者にとっては、いつか表面化するだろうと予感していたので、驚きではない。そのタイミングが、2022年7月20日(水)発売の3rdシングル「CLAP CLAP」の売上の前作比大幅減という、分かりやすいニュースとともに到来しただけだ。大事なのは今後の戦略だ。

NiziUのシングル売上激減の主因はコア・ファンの離脱、コロナ感染による番組出演キャンセルは主因ではない

具体的なNiziUのシングルの初週売上を見てみよう。オリコンによる初週売上の数字は、(概ねジャニーズ以外は)恣意的に「積み」の間引きをした推定売上枚数であるため、我々の関心事である総売上分析には適さない。オリコンによるNiziUのCDの初週売上は、これまで全作品でビルボード・ジャパンの数字を下回っている。

ここでは、ビルボード・ジャパンによる初週売上の数字を用いることにする。

NiziUのCDのビルボード・ジャパンによる初週売上

2020/12/2 1stシングル「Step and a step」:
初週31万8,562枚(月~水速報は25万3,669枚)

2021/4/7 2ndシングル「Take a picture/Poppin' Shakin'」:
初週34万7,432枚(月~水速報は31万365枚)

2022/7/20 3rdシングル「CLAP CLAP」:
初週14万9,347枚(月~水速報は13万7,941枚)

[参考] 2021/11/24 1stアルバム「U」:
初週18万4,226枚(月~水速報は15万2,698枚)

3rdシングル「CLAP CLAP」のビルボード・ジャパンによる初週売上は14万9,347枚で、前作の2ndシングル「Take a picture/Poppin' Shakin'」から57%減、つまり半分以下に激減した。

この大幅減の主たる理由はコア・ファン(オタク)の減少と思われる。筆者の大雑把な推定では、前作比の減少分の約20万枚のうち10~13万枚くらいは、これで説明できると思う。

それ以外の理由としては、メンバーの新型コロナウイルス感染で、新曲披露を予定していたテレビ番組への出演が(事前収録のNHK「SONGS」を除き)軒並みキャンセルとなって、日和見層・浮動票層に新曲が届かなかったからとみられる。この分は概ね、1stシングルと2ndシングルの月~水速報分と初週売上との差である4~6.5万枚程度に相当する、と推定される。

つまり、コロナ感染がなく、全ての新曲披露予定だった番組(フジテレビ系「FNS歌謡祭夏」、テレビ朝日系「ミュージックステーション」、TBS系「音楽の日」、日本テレビ系「スッキリ」)に出演して「CLAP CLAP」のパフォーマンスを披露できていたとしても、初週売上はあと4~7万枚程度しか伸びなかったと思われる。

残りの減少分は、ライトなファンが、グッズやライブ参戦のため金欠でCDを積めなかった、あるいは買えなかった、とSNSで書き込んでいるような、懐事情によるものと思われる。

しかし、熱狂的なファン(オタク)であれば、貯金を取り崩してでも、あるいはバイトを増やしてでも、推しの大事なリリースの売上成績に貢献するお金を確保するはずだ。

NiziUの現在のファンの多くが、グッズやライブ参戦を理由にCDを買わないような資金力のないファンばかりであるならば、今後も売上リバウンドは期待しづらく、むしろ危機感が強まる。

今回はNiziUのグッズやライブ参戦が理由だが、K-POPファンには複数グループ掛け持ち組も多いため、他のグループを優先するようになると、ますますNiziUのために使うお金が減るだろう。

NiziUは最初から恵まれすぎた成功体験を謳歌、運営はコア・ファンの不満にほとんど向き合ってこなかった

そもそも、NiziUのコア・ファン(オタク)がこの1年ほどの間に着実に減ったとみられる主因は、明らかだ。同じJYPエンターテインメントのTWICEなどの先輩たちのような、ファンが喜ぶコンテンツ供給が、ほとんどなかったのだ。

供給不足など、NiziUの運営に対する不満は、K-POP界隈では有名なユーチューバー氏が何度か動画で訴えていて、ファン以外にもよく知られていた。K-POP界では、SMエンターテインメントのように、ファンが不満をぶちまけてもおかまいなしに事務所のやり方を貫いて売上的に成功しているケースもあり、JYPも長らく、日本のNiziUのファンの不満にほとんど取り合わなかったとみられている。

もっとも、同じJYPエンターテインメント所属と言っても、TWICEお姉さんをはじめとする他のグループは韓国拠点で、そこにマネジメントとレーベルのスタッフが揃っているから話が早いが、NiziUの場合はマネジメントが日本拠点で、言語の問題もあって、韓国本社との調整が上手く行かなかったのではないか、との見方もある。

いずれにせよ、不満を募らせたNiziUのコア・ファン(オタク)が、どんどん離脱して行ったとみられる。

NiziUのCDは、K-POPアイドルにありがちな、特典充実の多形態売りだ。しかし、コア・ファン(オタク)にとっては、1形態販売でも、10形態販売でも関係なく、自分が100枚積みたければ積むだけだ。そういうコア・ファン(オタク)が減少して、お金に余裕のないファンだけが残るようなら、今後のCD売上リバウンドはかなり厳しくなる。

いきなり紅白出演のNiziUのコア・ファンは離脱、音楽番組になかなか出演できなかったJO1のコア・ファンはむしろ増えた

ライト層のファンも、ここ1年ほどは、増えてはいないと思われる。というのも、NiziUはデビューしていきなり、主要音楽番組に軒並み出演し、NHK「紅白歌合戦」までもあっさりと初出演するという、日本の女性アイドル史上で稀に見る成功体験を実現してしまったからだ。

このNiziUの破竹の勢いの成功体験と対照的だったのが、NiziUと同じ年の約半年前の2020年3月に、韓国CJ ENMと吉本興業がタッグを組んだ「PRODUCE 101 JAPAN」シーズン1で誕生したボーイズグループ・JO1(ジェイオーワン)だ。

日本のボーイズグループ市場は、テレビ局のジャニーズ忖度が今なお続いているとみられているが、JO1のデビュー当時は今よりもかなり非ジャニーズ系のボーイズグループにとって閉鎖的な環境だった。デビュー後2年以上経った今も、未だにテレビ朝日系「ミュージックステーション」には出演できていないし、NHK「紅白歌合戦」初出場もまだだ。

オーディションを観ていた熱心なファンは、JO1がなかなか地上波テレビの音楽番組に出演できないのを見て心を痛め、自分たちがJO1を有名にしてあげると決意し、SNSで宣伝活動を展開した。その熱量は、2年以上経った今も変わらない。

JO1の2020年3月発売の1stシングル「PROTOSTAR」のビルボード・ジャパンの初週売上は34万4,299枚だったが、2021年12月発売の5thシングル「WANDERING」の初週売上は51万6,603枚に増えた。熱心なファンが減ることはなく、むしろ増えたのだ。

NiziUのメンバーたちは、歌やダンスなどの努力を重ねてきたが、「Nizi Project」人気でNiziUがデビュー前から大ブームとなっていたから、事務所もファンもほとんど何の努力もしなくても、いきなり恵まれすぎの成功体験を謳歌できた。

オーディション・バブルが終わって、にわかファンが去って行くのは織り込み済みだったはずだ。バブル一巡後は多少のCD売上の減少はあっても不思議はないが、その後の売上は安定させなければならなかった。しかし、コア・ファンの離脱で、売上が激減してしまった。

この非常事態を、運営は重く受け止めて、今後の戦略をしっかり練るべきだ。

NiziUはどうしたい? 日本のガールズグループのトップを獲りたいのか、海外進出か?

日本のガールズグループ市場に合わせて、NiziUは可愛い路線でやってきたが、日本のガールズグループのトップは相変わらず乃木坂46だ。NiziUはどうしたい?

とことん日本のガールズグループ市場でトップを狙いたいなら、メンバーのバラ売りでバラエティー番組やドラマへの出演とか、ファッション雑誌のモデル起用とかのように、日本の既存のガールズグループと同じ露出作戦をとるつもりがあるのだろうか?

日本で露出をキープしていれば、何かのきっかけて、元々ポテンシャルの高いNiziUが再ブレイクする可能性も、十分あるだろう。

あるいは、日本市場でトップを獲ることは一旦置いておいて、海外進出を進める、という選択肢もある。

JYPがNiziUを韓国の音楽番組に送り込むのをためらっている間に、エイベックスの日韓プロジェクト・XGALX所属の実力派日本人ガールグループ・XGが、日本人だけのグループとしては異例中の異例の、韓国地上波音楽番組へのパフォーマンス出演を次々と果たし、大きな話題となることに成功した(JO1は韓国のケーブルテレビMnetの人気音楽番組「M COUNTDOWN」には出演している)。

これは、NiziUにはかなりショックだったのではないか。日本人ガールズグループとして、先を越されてしまったからだ(NiziUが音楽フェス「KCON 2022 Premiere」の韓国公演に出演した時のステージがMnetで放送された実績はある)。

もちろん、超ガールクラッシュのXGが、今のスタイルで日本デビューしても売れる保証はない。しかし、NiziUの今の日本向けの可愛らしい路線で、韓国の音楽番組に出て、XGのような大好評を得られるのかも、分からない。

韓国の大手事務所所属のグループだと、単に韓国の音楽番組に出演すればいいというだけでは済まない。各番組が売上や視聴者票などを元に人気ランキングを発表するからだ。1位を獲るのは容易ではないが、出演するからにはランキングに無関心ではいられない。

JYPはNiziUの後輩のガールズグループ・NMIXXを今年韓国でデビューさせたが、今年はガールズグループが激戦となっており、他の事務所のたとえばIVEほど、成功してはいない。NMIXXを何としても成功させたいから、はっきり言って、NiziUの韓国デビューなど、二の次なのではないか。

この際NiziUは、日本と韓国は一旦置いておいて、アジア進出、という選択肢もあるかもしれない。成功体験を実現できるような、周到なプラニングが必要だ。

世界進出に舵を切るなら、NiziUの今後の楽曲の路線をどうするかなどの、ブランディングも大事だ。NiziUは今作「CLAP CLAP」では、少しガールクラッシュ路線に寄せていたから、この曲を日本のテレビ番組で披露して、日本の視聴者がどう反応するかを、見てみたかった気がする。

意思決定者である事務所のトップのJ.Y.Park(パク・ジニョン)は当面、米国でのRepublic Recordsと組んだオーディション「AK2」で多忙だから、どこまでNiziUのことを考えてくれるかは不明だ。

しかし、だからと言って、J.Y.ParkがNiziUを簡単に見捨てることはない。男性版の「Nizi Project 2」を成功させなければならないから、お手本となる第1弾のNiziUを凋落させるわけにはいかない。


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商品情報

*NiziUの2022年7月20日(水)発売の3rdシングル「CLAP CLAP」の表題曲は、NiziUにとって新たなチャレンジとなるヒップなファンキー・ダンス・ポップ。CDシングル「CLAP CLAP」は、DVD付き初回生産限定盤A、ブックレット付き初回生産限定盤B、CDのみの通常盤、ファンクラブ会員限定のWithU盤(ソロ盤9種)の4形態12種で販売。WithU盤はオンラインメンバー個別サイン会抽選に、初回生産限定盤A・Bと通常盤(シリアルナンバー入りの初回仕様)はオンライン全員または個別ミート&グリート抽選に応募できる。ストアによって異なる先着外付け特典もある。

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